ベッカライ・ポンポン

ベッカライ・ポンポン

[業種]大分類:卸売業,小売業 中分類:飲食料品卸売業 小分類:食料・飲料卸売業

会社紹介 PICKUP特集

ライ麦パンの香りを向島から発信するドイツパン店

本物のパンがある下町のドイツパン店



“ベッカライ”は“ベーカリー”を意味するドイツ語。つまりベッカライポンポンは、東京の下町エリアでは珍しいドイツパン店です。店内の売り場を持たない、通りに面したショーケースだけの小さなお店は2018年2月、向島にオープンしました。
主力商品は食パンとライ麦パン。総菜パンや菓子パンも作りますが、お店の定番商品は白米の“ご飯”に相当する“食事パン”と決めて、添加物を使わず「食べあきない素直な食事パンを作る」をコンセプトにしています。
それもあって一番の人気商品が「ポンポン食パン」です。北海道産の小麦『春よ恋』と新鮮な牛乳、自家製酵母を使用し、しっとりもちもちとしていて小麦の香りも豊かな食パンに焼き上がっており、両端にはかわいいパンダの焼き印が押してあります。毎日2回焼くポンポン食パンですが、お昼過ぎにはほぼ売り切れとなってしまうため、確実に手に入れたいというお客様にはお電話での予約をおすすめしています。



ドイツパンを代表するライ麦パンは、ずっしりと重みのある黒パンで、独特の香りと爽やかな酸味が魅力の栄養も豊富なパンです。原材料のライ麦粉には香りが豊かなドイツ産のものを用い、ライ麦から作る自家製酵母と水にこだわって作っています。
一般にはまだまだなじみ薄いパンですから、オープン当初はお客様の関心も高くなかったのですが、昨今の健康志向の高まりから低糖質で栄養価が高いライ麦パンは徐々に人気を集め、今では看板商品になっています。ライ麦の配合率によって45%、70%、90%の3種類を作っていますが、売れ行きは90%のものが一番だそうです。
このほかベッカライポンポンが販売するのは、ブレーツェル(プレッツェル)、全粒粉食パン、雑穀入りの食パン、くるみのライ麦パン、コッペパンなどの食事パンに加えて総菜パン、菓子パンを合わせて常時20種類ほどです。どれも食べ飽きないパンを念頭に作られています。



食事パン以外で人気があるのは、あんぱん、ピロシキ、カレーパンなど。生地とあんこにコーヒーを混ぜたコーヒーあんぱんという商品もあって、たっぷり入ったホイップクリームが評判です。2018年秋の期間限定販売だったのですが、販売続行の希望が多く寄せられて販売期間がどんどん延び、今はレギュラー商品の座を得ています。
そして、昨年クリスマスシーズンに評判を集めたのがシュトレン。これを作らなければドイツのパン屋ではないと言われる、ドイツの伝統的なケーキのようなパンで、ラム酒やサクランボのお酒に漬けたドライフルーツやナッツ類をたくさん練り込んで作る贅沢な逸品です。昨年は11月から予約受付と仕込みを始めましたが、想定をはるかに上回る人気で製造が追い付かず、ご希望に添えないお客様が大勢出てしまいました。2019年は10月頃から予約を開始する予定ということです。
開店から1年を経過して、ベッカライポンポンは、おいしくて個性のあるパンを作る小さなパン屋さんとして、地域の若いママさんからお年寄りまで、幅広く愛され始めています。




無添加店内手作りの食パンとライ麦パンが強み

  • 素直な食事パンを作る

    ベーシックな商品ラインは、食パンをはじめとしたごはんになる食事パンです。添加物を使わない、自家製酵母で作る食べやすい素直なパンが中心です。

  • 本物のライ麦パンがある

    下町には数少ないドイツパンの専門店です。おすすめのライ麦パンは、ライ麦、自家製酵母、水にこだわって手作りする香り豊かなヘルシーなパンです。

  • 地域とのつながりを重視

    向島と墨田区で生活する人たちや商店とのつながりを大事にして、食べやすく安心なパンを提供する、地域に根付いたお店を目指しています。

みんなに喜ばれるパンづくりを笑顔で続ける

「パンの焼き上がりの匂いはだれでも好きですし、みんなから喜ばれる仕事だと思ったんです」
ベッカライポンポンのオーナー、三谷慶太氏は、パンづくりの道を選んだ理由をこう振り返ります。そのパンづくりの世界へのデビューは30歳を過ぎてからで、遅かったと三谷氏は言い、それまでの約10年は出稼ぎ暮らしだったと笑います。
大学卒業後に就職した地ビール関係のベンチャーが1年も経たずに倒産してしまい、四国へお遍路に出かけた三谷氏。機内誌でたまたま目にしたのが、ある作家の「サトウキビの刈り入れほど過酷な仕事はない」というエッセーでした。ならばこれを経験しておけば将来どんな仕事も辛くないだろう、と考えた三谷氏は沖縄へ渡り、ハブに噛まれる人もいる炎天下での厳しい労働を1シーズン経験。以降「食材の現場」に興味が芽生え、北海道の鮭イクラ加工、嬬恋のキャベツ収穫、沖縄の黒糖工場など季節の変化とともに各地を転々と“出稼ぎ”して回ったのです。
ある年の石垣島のホテルでのアルバイトで、これがパン業界へ向かう転機になりました。望まぬ配属先だったベーカリー部で、フランス人のパン職人に付いてパンづくりに接する機会を得たのです。



「最初の1週間はお互いブロークンイングリッシュで言い合い、ののしり合いばかり。でも厳しく仕込まれて、彼の休みの日に代わりができるまでになって、それでパンづくりの楽しさを知ったのです」
ゆくゆくはモノづくりをしたいと考えていた三谷氏は、「よし、パンづくりだ」と方向を定めました。このとき思ったのが、パンづくりはみんなから喜ばれる仕事だということでした。
「でも専門学校で勉強するお金はないし、ならば働いて一から教えてもらおうと考えてチェーンのパン店に入社して、仕込み、成形、焼きとパンづくりの基礎を学びました」(三谷氏)
三谷氏はここで7年勤務する間にドイツパンに出会います。その魅力を強く感じて、やがて本格的なドイツパン店に移り、そこでさらに6年間修業しました。そして遂に自分のドイツパン店を開くことにしたというわけです。
「対面販売ですから笑顔を第一にしようと決めました。お店にはこれが一番大事なことです」(三谷氏)
喜ばれるパンづくりを笑顔で。この気持ちは今も変わりはありません。

定番のパンに磨きをかけて地域に愛されるパン店へ

自分のお店の立地に選んだのが向島でした。その理由を三谷氏はこう述べます。
「私の住まいは川向うの台東区なのですが、向島に決めたのは下町の感覚が残る土地柄からです。昔ながらのこだわりのお店も多くてノスタルジックな感じが好きでした。実際開店してみると、古くからの方も新しい者を歓迎してくれますし、最近開業したお店もけっこうあって、その若手の店主さんたちとのつながりもできて、向島にして良かったと思います」
同店のフェイスブックやインスタグラムにも、ご近所の飲食店などとの楽しい交流の様子が載っていますし、お客様からの投稿も多くみられます。



お店は奥様と二人で切り盛りしています。パンづくりはもっぱら三谷氏が担当、具材づくりと販売は奥様です。
「下町にはドイツパン店は珍しいので、口コミで知ってパンを買いに来ていただいたお客様が増えています。ここはバス停の真ん前なので、うちのレジ袋を持ってバスに乗られるお客様も多くいて、それも自然と宣伝になっています(笑)」
レジ袋には白地にオレンジ色のパンダのイラストがデザインされていて目立ちます。このイラストも三谷氏の手によるもの。子どものころから絵を描くのは得意でした。お店のデザインも自分で考えています。道路に面したショーケースの頭上には、大きく張り出したオレンジ色の縞のオーニングも取り付けて、暑い日にバスを待つお客様の日よけになるようにしました。
開店から1年が過ぎ、向島では同店の認知もだんだん広まっているようです。
「おかげさまで応援していただけるお客様も増えてだいぶお店らしくなってきました。当店は大量生産はできませんし、イメージがばらけるので次々と新製品を売り出すつもりもありませんが、シンプルに今あるパンに磨きをかけていこうと思っています。それでおいしいと言っていただける新しいお客様を増やしていけたらと思います。向島から元気よくライ麦パンを発信していきたいですね」
と、三谷氏は、地域に愛されるパン店・ベッカライポンポンのパンづくりに胸を膨らませています。

動画で見る「ベッカライ・ポンポン」

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