東京ハンガー株式会社

トウキョウハンガー

[業種]大分類:製造業 中分類:プラスチック製品製造業(別掲を除く) 小分類:その他のプラスチック製品製造業

会社紹介 PICKUP特集

“ないものを作る”の開発姿勢で高付加価値なハンガーを生み出す

プラスチックハンガーの進化をリードする専門メーカー



アパレル業界にとって商品の製造、流通、販売の各シーンで欠かすことのできない“ハンガー”。全国のメーカー、百貨店、量販店、専門店で年間20億本に及ぶハンガーが使われているとも言われます。東京ハンガーは、そのハンガーを創業以来60年作り続けてきた専門メーカーです。
同社は、もともとは材木を扱っていた創業者が、1959年に木製ハンガーの製造会社を設立したのが始まりです。その後1965年に、フラフープをヒントにしてプラスチックパイプを使ったハンガーを開発し、大きなヒット商品となりました。これが日本初のプラスチック製ハンガーだったと言われていますが、以来同社はブロー成型ハンガー、射出成型ハンガーへと技術開発をつなげ、ハンガーと組み合わせた洋服カバーや、ボトム用ピンチ付きハンガーなど新機軸の商品を開発してきました。今ではアパレル業界で一般的に使用されているプラスチック製ハンガーも、その原型の多くが同社で生み出されたものだということです。




こうして現在、同社は日本国内の有力アパレルブランドのメーカー、流通企業に向けて、工場~倉庫~店舗間の商品移動に使われる流通ハンガー、店舗内の陳列用ハンガー、購入商品の持ち帰り用ハンガーといった各種ハンガーを供給しています。また、法人向け以外の個人向けでも、ネットショップを通じて各種のハンガー製品を販売しています。
その同社がこだわり続けてきたのは、ハンガーの肩ライン。ユーザーであるブランドごとに最適な肩ラインを追求して、何10回と試作を繰り返して提供するハンガーの型が決定されています。計算しつくされたラインのハンガーは服を型崩れさせず、良好なコンディションを保って長持ちさせ、そして、服のデザインをきれいに見せることができるのです。




そして3年前、同社は服のコンディションを保つためのハンガーの集大成版として、滑り止めのウレタン加工に加えて消臭・抗菌機能をそなえた高機能ハンガー「澄‐SUMI-」を開発、発売しました。
近年消臭効果を持つ繊維などに使われている、高機能な消臭剤をプラスチック素材に練り込んで成形したハンガーで、臭気成分を物理的に吸着する方式とは異なり、化学反応による消臭効果は即効性と持続性を併せ持ち、低濃度の悪臭も消臭することができます。部屋干しの生乾き臭や、着る度に洗えないスーツの汗臭・体臭など、服についた様々な臭いを消臭してリフレッシュする効果が期待できるのです。
また、このハンガー発売と同時に消臭・抗菌ができる洋服カバーも発売されました。洋服カバーの内側にある4か所の通気ポケットに消臭・抗菌シートを入れて使います。ハンガーと組み合わせて使用すれば大きな効果向上が期待できます。
さらに同社は、このハンガーに使った化学剤のより汎用性のある商品への展開を計画し、現在その商品化第1号の発売を準備中です(記事後半で紹介)。常にお客様の声を聞きながら、「あったらいいな」を開発してきた同社の新しい一歩が踏み出されます。







本物のハンガーにこだわる技術と開発力

  • 日本のハンガーをつくった

    日本初のプラスチック製ハンガーを作って以来、現在ある様々なハンガーの原型を生み出してきました。その開発力と技術力が同社を支えています。

  • こだわりの肩ライン

    繰り返し使うハンガーの役目は、かけた服のコンディションを最善に保つこと。そのため同社は肩ラインの吟味に最大限のこだわりを持っています。

  • 消臭・抗菌プレートの発売

    即効性と持続力が特長の消臭・抗菌機能をそなえたハンガーを発売。さらに同じ化学機能材を応用して汎用的な消臭・抗菌プレートを開発しました。

価格競争から一歩離れて商品開発を続ける

「ハンガーが低コストだけを目指す世界になってしまっていて、それは違うだろうという想いで社長を引き受けました」
と振り返るのは社長の櫻井勝氏。同社への入社と同時に社長を継いだのは平成9年(1997年)、父から兄へと続いた後の3代目でした。それ以前は、理工学部を卒業して入った自動化設備メーカーで、「20年間“機械屋”をやっていた」と言います。
ですから櫻井氏は、低コスト化だけを追うことはしないと決め、ハンガー本来の役目と機能を追求し高付加価値を目指した商品開発に力を注いできました。



「お客様やユーザーが何に困っているかを調べて、その解決策に着目して商品開発をしてきました。新しいものはすぐ真似されますが、またそれを超える商品を作っています」
と櫻井氏は話します。プラスチックに備長炭を混ぜて服が滑らないハンガーを開発したり、ズボンかけの押さえバーに和紙を含んだ優しいウレタン樹脂を使ったり、ブーツ用のハンガーを考えたりと、開発には他にないアイディアが光ります。
「近隣の中小企業の仲間たちと協力してアイディアを出しています。大手の専門家が驚くような隠れた技術も持っていて、それが生きたこともたびたびありますし、遊び心で試しに作ったものが商品化できたこともあります」
と、櫻井氏は良い仲間たちが商品開発の支えになっていると語り、さらに、「嘘はつかない、約束したことはやる」ことを信念にしていると言います。

消臭・抗菌プレートで新しい一歩を踏み出す

さて、同社の“ないものを作る”姿勢はいま、ハンガーを超えた展開を見せています。それが、現在発売準備中の消臭・抗菌プレート『澄板(すみいた)』です。
「この『澄板』は、人があったらいいなと思うものの1つとして開発しました。消臭・抗菌ハンガー『澄-SUMI-』に使った化学材料を、より汎用性のある消臭・抗菌グッズへと応用するために、プレート表面に塗布加工してカード型にした商品です。この開発にも仲間の中小企業の技術が力を発揮し、材料の提供元の大手化学メーカーを驚かせました」
と、櫻井氏は新商品に期待を込めて話します。
『澄板』は名刺よりやや小さいサイズで、ポケットやバッグに入れて気軽に持ち歩け、身の回りで臭いが気になる物にサッと使うことができます。靴、ヘルメット、スポーツウェア、作業着、車内など、対象は様々。靴の臭いなら、澄板を靴の中に入れて2、3分で完全に消臭できる即効性が特長です。



昨年、あるバイクファン雑誌のパーツ検証コーナーで、試作品がハンガーとともに取り上げられ、ヘルメット、ブーツ、レザージャケットの消臭実験で効果が実証されました。
「専門家に効果を検証してもらい、エビデンスも十分にあります」
と櫻井氏は自信を持っています。今後クラウドファンディングを通じて支援者づくりと広報を行い、終了後すぐにある量販店チェーンとネットショップで販売を開始する予定です。
そして、櫻井氏はこう言います。
「全て、ないものを作るということが原点です。コスト追求よりもそれが大事です」
今年、地元の母校、中川小学校の卒業記念品にハンガーを製作しました。

動画で見る「東京ハンガー」

≪ PICKUP企業特集一覧に戻る

連絡先

住所〒131-0043 東京都墨田区立花5-14-12
TEL03-3619-5678
会社紹介 PICKUP特集