株式会社大川硝子工業所

オオカワガラスコウギョウショ

[業種]大分類:製造業 中分類:窯業・土石製品製造業 小分類:ガラス・同製品製造業

会社紹介 PICKUP特集

ガラスびんに新しい価値を吹き込むすみだに生きる100年企業

食品用から理化学用まで幅広いガラスびんを企画・販売

大川硝子工業所は、ガラスびんに関わって100年以上という歴史を持つ会社です。創業は1916年、点眼薬のガラス容器の製造などで始まったといいます。以来、食品、化粧品、医薬品、理化学用のガラスびんを中心に、多種多様なガラスびんの製造を続けて発展しました。
しかし約40年前の1979年、周囲に住宅が急増する中で、工場が環境基準をクリアすることが難しくなります。同社はガラスびん製造に終止符を打つ決断を下し、製造は外部に委託することで主事業をガラスびんの企画販売に転換。以来同社は、メーカーとして蓄積したノウハウを特色として、どのような要望にも対応可能なガラスびんの企画販売を行う専門商社として歩んできました。
同社は、それぞれ得意製品を備える各地のガラスびん製造会社を取引先に持ち、お客様の多様なニーズに的確に応える体制を築いています。工場時代から残る広い倉庫を持つのも強みで、スムーズな納品につながっています。また、ガラスびんへの印刷、塗装、パッケージやラベルの製作も引き受け、商品の姿での納入にも対応しています。
現在、はちみつなどの食品、栄養食品用のガラスびん、理化学系用途のガラスびんを中心に幅広い製品を扱う同社ですが、自社ブランドでの商品も開発していて、その1つである丸形の「地球びん」はコメダ珈琲店でジュースの容器としても使われています。
こうしたガラスびんのビジネスを通じて、同社はいま、ガラスびんの価値を見直し、さらに新しい価値を提案していくことをめざしています。
ガラスびんは密封性が高く内容物の保存に適し、成分の溶出もなく安全で清潔です。また、ガラスびんは天然素材から作られ、使用後は砕いてカレットにし、ガラス原料として再利用することができます。人にも環境にもやさしい容器と言うことができ、その価値はこれからさらに認められるはずというのが同社の考えで、その上に同社独自の新しい提案を行っていきたいとしています。




100年の蓄積を強みにガラスびんの新たな価値を提案

  • ガラスびんとともに100年

    1916年にガラスびん製造で創業し、1979年からは製造ノウハウを持つ専門商社として、100年以上ガラスびん一筋に歩んできた企業です。

  • どんなご要望にも応える

    長年蓄積したガラスびんに関する幅広いノウハウと、多彩なメーカーとのネットワークによって、ガラス容器のどんなご要望にも素早くお応えします。

  • ガラスびんの新価値を提案

    ガラスびんの安全性、保存性能の高さ、美しさなどの既存の価値を伝え続けるとともに、新たな価値を創造してお客様に提案していきます。

できませんとは言わないガラスびん事業への想い

同社の現在の社長は大川岳伸氏。2年前、創業100周年を迎えた際に5代目社長に就任しました。大学で食品工学を学んだ後、食品会社で営業職を4年、その後レストランで調理を2年経験してから同社に入社し、8年後の継承でした。
その大川氏のビジネス姿勢を表す、次のようなエピソードがあります。
「とあるお客様から、ご自身の結婚式の引出物として、江戸切子を施したガラスの写真たてを作りたい。というお話がありました。切子の職人はお客様で手配できたものの、どうしても希望する形状のプレーンのガラスの写真立てが見つからなかったようです。ガラスびんの製造依頼ではありませんが、ガラスという素材に違いはありません。写真立てのような形状の場合はびんを作る型吹きとは異なり、型押しという製法を用います。協力工場に型押しが可能なところがありましたので快く受けさせて頂きました」
写真立は無事に出来上がり、結婚式に間に合いました。過去にメーカーとして60年の歴史持つ、同社ならではのノウハウと製造のネットワークが活きた案件でした。その後お客様からは感謝の手紙が届き、その中に「10社以上問い合わせをしたが全て断られた」という内容があったそうです。



「昔に比べてガラスの需要が減っている中、折角のご依頼を簡単に断る訳にはいきません。どんな要望にも耳を傾け可能な限りお応えするのが当社の姿勢です。それにこういう仕事ってなかなか経験できないですし楽しいですよね」
そして大川氏はこう付け加えました。
「もしかしたら弊社はガラスびんの価値観の持ち方が良い意味で他社とは異なるのかもしれません。お客様もそこを感じ取って依頼して頂いている気がするので、期待を裏切らない結果を出したいなと常に思っています」

ガラスびんに秘められた価値を探り提案していく

ガラスびんの生産量は、平成19年の143万トンから平成29年の123万トン(経済産業省「窯業・建材統計」)へと10年で15%減少しました。ペットボトルの普及と人口減少が背景にあるという見方もあります。しかしその中で、環境意識の高まりからガラスびんが見直されるという変化が見え始めています。
「ガラスびんは無害で劣化しませんし、リサイクルもリユースもできるという特長があります。日本のガラスびんのリサイクル率は約75%ですが、これは環境意識の高いEUと同レベルです。消費者が健康と環境を考えて容器を選ぶことで、ガラスびんの需要にも変化が生まれるかもしれません。実際、ヨーロッパでは需要が少し増えてきているとも聞きます。こうした環境にも人にもやさしい、ガラスびんの既存の価値を訴求していくことは大事です」
昨年(2017年)には自社製品のリブランディングを自ら行い、1976年発売の『地球びん』をはじめとした3種の製品パッケージデザインを過去の雰囲気も残しつつ変更。SNSも積極的に活用し、小規模雑貨店、ネット販売店の引き合いが増えているといいます。
「自社製品は当社のプロモーションツールであり看板です。これを突発的に大量販売するのではなく、いかに長く売り続けるかが当社の一つのテーマです」
と大川氏は力を込めますが、さらに新しい取り組みが必要とも考えています。



「既存の価値の訴求だけでは足りないと思っています。新しい提案を加えて鮮度を保つことが必要です。その試みの1つとして、3年前から東京デザイナー学院と産学共同の取り組みを行っています」 学生がいくつかのチームを組んで、それぞれ既成品のガラスびんをベースに独自のアイディアを加えた商品開発を行うというもの。大川氏も加わり、アイディア~デザイン~製品化~フライヤー(PRチラシ)作りという商品化の一貫工程を経験します。完成した商品は実際に販売も行います。
「私とのやり取りの中でデザイン工程以外の部分を学生には感じ取ってもらい、学生とのやり取りの中で私はデザインの事を勉強させてもらっています。トータル的な感覚を持つことは、私にとっても学生にとってもこれからの時代とても重要なことだと思っています。学生達がそういった新たな経験や体験に生き甲斐や楽しみを見出せるような仕事の仕方をしてくれたらうれしいですね」
と大川氏は笑顔で言います。
ガラスびんで何ができるか。新たな価値をどのように生み出せるか。大川硝子工業所の次の時代に向けた挑戦が続きます。



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