La croisee

ラ・クロワーゼ

[業種]大分類:製造業 中分類:食料品製造業 小分類:パン・菓子製造業

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シェフの経験と技が光る北斎美術館そばのパティスリー

すみだモダンに選ばれたケーキがある両国の洋菓子店

両国にあるケーキと焼菓子のお店、パティスリー「La croisée(ラ クロワーゼ)」。オープンしたのは2年前の2016年9月で、すみだ北斎美術館とはテニスコートを挟んだビルの1階、ガラス窓のある黒い引き戸が目印のお洒落なシンプルなお店です。
オーナーの柄澤忍さんは、青山の“ジェルボー東京本店”の立ち上げから6年間シェフを務めたパティシエです。ジェルボーは、ハンガリーのブダペストにある160年の歴史を持つ名高い老舗カフェで、セレブ層や芸術家などが集ったお店だったようです。今でもヨーロッパの伝統的なお菓子作りを受け継いでいますが、その初の海外出店が東京本店でした。
柄澤さんは、ジェルボー東京本店でハンガリーの本店から受け継いだクラシックなお菓子を作るとともに、現代に合わせた新作ケーキも多く開発し本店の高い評価を得ていました。
開店2年目に、北斎の「赤富士」をモチーフにした商品の「ルージュ」と、その対となる「黒富士」をモチーフにした「ノワール」の2品が「すみだモダン2017」ブランド認証を受けました。「ルージュ」は、富士山をイメージしたムースとジュレのケーキの表面にフランボワーズ(ラズベリー)のソースをかけてコーティングした品。フランボワーズの透き通るような美しい赤が魅力で、他の商品にも使われることがある自信の赤です。
お店のショーケースにはこの2品のほか、柔軟な発想と優れた技によって創作された季節感ある豊かな色合いのケーキが並びます。米粉で作ったロールケーキ、卵を使わない焼菓子など、お客様から直接聞いた要望に応えて開発したケーキもあって、見ても味わっても楽しめるすみだのパティスリーです。




ヨーロッパの老舗店が認めた創作ケーキの技術

  • お菓子作りの豊富な経験

    同店のオーナーは、有名ホテル菓子部門や個性のあるケーキ店で経験を積み、シェフとしても実績をあげてきた実力派です。

  • ジェルボーが認めた技術

    ハンガリーの老舗カフェ「ジェルボー」に認められた、ケーキ作りの発想の豊かさと確かな技術が「ラ クロワーゼ」で十分に発揮されています。

  • お客様のためのお菓子開発

    お客様のご希望とニーズに沿った新しいお菓子とケーキを開発しています。米粉のロールケーキや卵を使わない焼菓子なども販売しています。

いのちをつなぎ合わせて作っていることの重さと誇りを考える

ジェルボー東京本店でシェフを務めていた柄澤さんですが、そうなるきっかけは、あるデパートで販売されていた柄澤さんのケーキが、ジェルボーの東京進出を準備していた本店の社長の目に止まったからでした。
「電話がかかってきて、いきなり、日本でお店をやるので頼みたいというのです。ハンガリー?無理ですと断ったのですが、その後も電話がかかってきたので…」
礼儀として話だけは聞こうと思い、出向いた柄澤さんに社長がその席で、「ハンガリーに行ってください。チケットは用意します」という話でした。
「3か月でお店を立ち上げてくれと言うのです。仕方ありません、勤めていた会社に戻って『辞めます』と言って1か月後に退職です。すぐジェルボーへ研修に行きましたが、驚くようなVIP待遇でした」



ジェルボーでは160年前のお菓子作りが続けられていますが、柄澤さんはその商品メニューをすぐに呑み込み、合格点の商品を作ることができたといいます。1週間ですべてのメニューをマスターしました。
こうして柄澤さんは青山の東京本店の立ち上げに参加し、その後足掛け6年間をマネージャーとシェフとしてお店を支えたのです。ライセンス契約の決まりがあり、この間お菓子作りを許されていたのは柄澤さんだけ。自ら数多くの新商品の開発も行いましたが、そのままでハンガリー本店の承認を得ていました。働き続けの6年でしたが、ここでの経験は柄澤さんのパティシエとしての実力と考え方を育てました。
「スタッフに言っていたのは、“いのち”をいただいていることを考えて仕事をするということです。材料になる牛乳でも果物でも元は生きもの。我々はそのいのちをつなぎ合わせてお菓子を作っている。その仕事に誇りを持ってほしい」

お客様の望むことに応えるものづくりが個人店の意味

「私は海外に修行に行っていません。コンクールで賞もとっていません。雑草ですね」
と柄澤さんは話します。それでも、専門学校の製菓科を卒業するとホテルに就職して頭角を現し、その後開業のホテルやいくつかのパティスリーやカフェで活躍し、その腕をジェルボーに買われるまでになりました。でも、シェフに必要なのは腕だけではないと言います。
「私は早くシェフになりましたが、シェフはただお菓子を作れればいいというわけではありません。お客様のニーズに応えながら、効率と経営を考えることが求められますし、外部との折衝力や、広報や管理のためにPCが使えることも必要です」
実際、柄澤さんは、かつて自ら店舗や会社の経営システムづくりまで行い、11店舗を管理する総括シェフも経験したことがあるといいます。そうしたこともあって、自分のお店をやろうと考えたのでしょう。



「体調を崩したためにジェルボーを辞めたのですが、ずっと忙しかったので一回休んで考え、その中で家内が自分のために好きなお菓子を作ったらと背中を押してくれたこともあり、ものづくりにこだわりのある人が多い“ものづくりのまちすみだ”でやろうと墨田区を選びました」
休むのは1年間と決めていましたが、適当な出店場所が見つからず、再就職も考えたぎりぎりのところで現在の場所を見つけ、墨田区の特定創業支援等事業のバックアップを受けて開業しました。その個人店の経営について柄澤さんは次のように述べます。
「コンビニに比べれば高いケーキです。安くしようと思えばできますが、同じ作るなら、手間をかけても安全でおいしいものを作りたい。それを求める人がいますし、食べてもらえばわかります。時代がそういうときに来ていると思いますし、それに応えることに個人の店の意味があると思っています」
ですから店を増やすことは考えていないと言います。しかし、より多くのお客様に喜んでもらうためには戦略が必要とも考えています。
「せっかく名所がいろいろあるのに、人の流れが行き渡っていません。アイディアを出してみんなで地元を盛り上げていきたいですね。地元の若い経営者たちと話して戦略を練っていけたらいいと思っています」
と話して、柄澤さんはすみだのパティスリーの未来に目を向けています。

動画で見る「La croisée ラ クロワーゼ」

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