株式会社東京精機製作所

トウキョウセイキセイサクジョ

[業種]大分類:製造業 中分類:業務用機械器具製造業 小分類:医療用機械器具・医療用品製造業

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福祉機器の部品開発・製造と、伝統工芸を生かすスピーカー作りが共存

福祉機器の部品メーカーであり、中小企業サポーターでもある

東京精機製作所は1963年(昭和38年)に個人経営の機械部品加工業として創業した歴史があり、2009年に法人化して以降は、障害者用車いすを中心とした福祉機器用部品の企画・設計・製造を事業のベースにしています。中には、ロック時にレバーを誤って不意に押してもピンが抜けない安全なインデックスプランジャーなど特許取得の部品機構により同社だけが製造できる製品もあります。いずれもある障害者用座位保持メーカーからの依頼を受けて開発したものですが、「福祉機器部品は使う人一人ひとりが相手の製品で、工業製品であって工業製品でない。千差万別で対応の幅広さが求められるもの作りが求められます」と、ただ1人の従業員で社長の松島肇氏は話します。
そして、同社にはこの部品開発・製造のほかにも力を入れていることがあります。それは中小企業、零細企業に向けた自社製品開発のサポートサービス。「未来への想いをカタチに変える」を会社の方針として、十分な開発力を持っていない中小企業に協力して新製品の開発、商品化を支えるというサービスです。松島氏が、長年の製造業経験で培った技術、知識、ノウハウを生かして、経営環境の厳しい中小企業の事業変革と生き残りに力を貸していきたいと考えて始めました。
さらにもう1つ、今同社が取り組んでいるのが、伝統工芸とのコラボレーションによるインテリアスピーカーの製作です。区内に残る伝統工芸の技を生かした、注文生産による1個づくりのスピーカーですが、これについては次の段で詳しくご紹介します。



未来への想いをカタチに変える技術

  • 福祉機器部品の開発・製造

    幅広い技術とノウハウを総合して、車いすをはじめとした福祉機器の機能と安全性を高める部品の企画から設計、開発、製造までを一貫して行います。

  • 新製品開発のサポート

    中小・零細企業が新しい展開を求めて取り組む自社製品開発に対して、アイデアレベルから設計~製品化までを長年の経験と技術でサポートします。

  • 伝統工芸を生かす製品開発

    自社開発したスピーカー筐体に、注文に応じて、継承されてきた伝統工芸の技を生かした表装を加え、新しいインテリア製品として提供します。

伝統工芸とコラボレーションするスピーカー開発

「墨田区の伝統工芸もなかなか厳しい環境にあるので、何か元気にするための協力をしたいと思い、伝統工芸を利用する付加価値の高い商品開発ができないかと考えたのです」
と、開発したインテリアスピーカーを見ながら松島氏が語ります。開発に取り組んだのは昨年(2016年)。照明や時計なども考えましたが、目新しさがありません。そこで、昔からジャズが好きだったこともあって、スピーカーに着目しました。提灯の江戸文字職人さんにも相談して、円筒型の筐体を作ってその表面をキャンバスに見立てて伝統工芸を生かしてもらおうと思いついたのです。



開発には1年近くかけ、設計、開発、試作、組立、発送が同社の担当、各部材の製造は外部の協力を得ています。
「表面を飾る伝統工芸に失礼にならないよう、筐体にも高い質を求めました」と松島氏が言うように、構成する各部分の製造にも職人の手がかかっています。木製の台と天板の製造には草加と八王子の職人、塗装には100年の歴史がある江東区の工房、ネジは墨田区の象徴する物としてという具合です。
「表面に布や紙を貼るというのが初めのコンセプトで、それならば表具屋さんが必要と考え、区内の東京都伝統工芸江戸表具師さんにパートナーになってもらいました」(松島氏)
最初の商品化に選んだ伝統工芸の品はうるし紙。もともとは本漆を塗った紙でしたが、昭和初期から樹脂塗料を使用するようになり、今は細かい模様をエンボス印刷により漆と同等の質感で再現する紙になっています。協力するのは、墨田区本所にある創業70年のうるし紙専業メーカーの株式会社エス・アール・エス・スガヤさんです。
うるし紙に続く商品化の候補としては、区内の捺染職人さんが作る江戸小紋布地や、呉服店の伝統的な反物などが挙がっています。松島氏は、これ以外にも、伝統工芸のコラボレーションを募って商品化の幅を全国に広げていきたいと考えています。

下請けで苦労した分、面白いこと役に立つことをやりたい

東京精機製作所は松島氏の父が1963年(昭和38年)に創業し、機械部品加工業として仕事をしていた工場でした。大学を卒業した松島氏が1976年に加わり、その後90年代に福祉機器の部品の開発、製造、組立へと事業を切り替えました。
「20年前に父が引退して私が継ぎましたが、下請けの機械加工はもう斜陽で、得意先も海外へ生産を移転したため思い切って福祉の方へ事業転換しました。うちは他人に値段を決められる下請けで苦労しましたから、自分で値段をつける自分の製品を作りたいという中小企業の社長の気持ちがわかります」
と松島氏は語ります。苦しかった経験が、現在、中小企業に力を貸して製品開発のサポートサービスを行っていることにつながっています。そしてこう続けます。
「小さいところからコツコツやってきて、周りに助けてもらってやってきました。人とのかかわりが一番大事です。それに考えるのが好きで、ものづくりも好きで、面白いことをやりたい、人の役に立つことをしたいと考えてきました」
それが、少しでも区内の伝統工芸の力になりたいという気持ちを引き起こしました。自分がやってきたものづくりの経験を生かして、伝統工芸とコラボレーションしながら面白いことをやってみたい。いま松島氏はそう考えているようです。
「スピーカーでは当社はぎりぎりでやっています。職人さんなど、リスクを負って参加する方に儲けてもらうつもりです」と言って笑っています。

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