株式会社ズーム

ズーム

[業種]大分類:製造業 中分類:繊維工業 小分類:外衣・シャツ製造業(和式を除く)

会社紹介 PICKUP特集

他にない技術力の小さな縫製工場からメードインジャパンの感性と品質を発信する

カットソーと布帛の縫製メーカー

株式会社ズーム(ZOOM)は、カットソー(*1)を中心に一部布帛(ふはく)(*2)を加えた服飾製品の、裁断・縫製・二次加工・納品という一貫生産を行っている縫製メーカーです。生産の大半はOEM生産で、大手のブランドよりは中小規模なブランドやフリーのデザイナーからの注文が中心。主にファックスで送られたデザイン画やスケッチの入った注文書を元に、小ロットの生産から数百枚の中ロットまで短納期で対応しています。ジャンルは婦人服から紳士服、子供服までのすべて、製品の品目もシャツ、ブラウス、ワンピース、ジャケット、ボトムズからなんとコートまでこなします。
同社の縫製工場があるのは秋田県大館市。1つの工場で、カットソーでも布帛でも、幅広いジャンルと品目の注文すべてに対応できるのが大きな特長です。その様な縫製工場はほかにはほとんどないそうです。そもそも、生産の海外シフトの潮流と経営者の高齢化で、国内の縫製工場は減少の一途をたどり、残ったのはわずか。生産効率と低原価ねらいの海外工場では、幅広い製品対応はとても無理です。しかし、今国内にある縫製工場は、メードインジャパンの技術力と品質で一定のニーズに応え、それぞれ強みを持って意外と元気に事業を続けているのです。
同社の強みは、この幅広さのほかに2つあり、1つは提案力。受け取ったデザインと仕様をそのまま製品にするのでなく、デザイナーが作りたいものは何かという“意図”を読んで、その実現に向けた生地、型紙、裁断、縫製の提案を行います。そうしたアドバイスを期待して注文を出すお客様も多いようです。提案ができる理由は、社長の加々村義廣氏自身がデザイナーだったことにあります。デザイナーやデザインオフィス時代、縫製工場に自分のデザインの製品化を頼んでも、どうも意図したものと違うものが上がってくる。そんな経験を何度も繰り返した結果、ならば自分で工場をつくろう、デザイナーの意図を理解する工場にしよう、と決意して工場を立ち上げたといいます。はじめの工場は江戸川区内でしたが、1993年に大館の現在の工場ができ、やがて統合しました。
強みのもう1つは、作りの丁寧さ。着る人にとって着やすく長く着られる服であることを目指して、レディメードとはいえ、年齢や男女による体形や身体の動きに合わせた型と裁断、目に見えないところにも細かく気を配った縫製に力を入れています。
同社は、メードインジャパンと国内工場にこだわった高い感性と品質で、成長を目指す中小ブランドをOEM生産によって支え、共に成長していこうと考えています。2014年には自社ブランド“ICHORA”を創り、JR両国駅にほど近い場所に同名の店舗を出店しました。自社の技術とものづくりの姿勢を発信していくための場です。現在、ZOOMはOEM事業とオリジナル事業の2つを柱に進んでいます。

*1 カットソー:ニット(編物)生地を各部の型紙にそって裁断(cut)し、それらを縫い合わせ(sew)て作る衣服です。
*2 布帛:綿、麻、絹を原糸とする織物。ニット生地と違い、引っ張ってもほとんど伸びません。



他にないほどの幅広い縫製技術を育てる

  • 幅広い製品の一貫生産

    自社工場ではカットソー全般と一部布帛の裁断、縫製、加工、仕上、納品の一貫生産で、婦人服、紳士服、子供服すべてに対応しています。

  • デザイナーの意図を理解

    発注者であるデザイナーの意図を理解する工場を目指しています。単にデザインを形にするのでなく、プロの目での提案を行って製品化を助けます。

  • 高い技術と丁寧な縫製

    多様な製品に対応できる高い技術を持ち、目に見えないところにも細かく気を配った縫製にこだわり、品質の高いメードインジャパンを製作します。

薬剤師、格闘家、そして縫製メーカー専務

「カットソーの縫製工場はふつう、縫製の方法が異なるシャツやジャケットの生産は行わないことが多いのですが、当社の工場は様々なジャンルの生産が可能です」
と、専務取締役の加々村征(かがむら・もと)氏が、秋田工場の従業員(職人さんです)たちの技術をほめます。しかも、小さなメーカーやブランドからの、10枚だけといった採算の厳しい注文でも引き受けるのがすごいところ。
「ロットの多いものがあれば少ないものがあって当然、一緒に育っていきましょう、というスタンスでいます」
と、加々村氏は若手デザイナーを応援するZOOMを語ります。



専務の加々村氏は、注文の受付といった営業と秋田の工場への手配~納品管理までを行う、ZOOMのリーダー役。でも、その経歴はちょっと変わっています。もともとは薬学部卒業の薬剤師でドラッグストアに就職、ところが趣味だった格闘技でプロを目指して退職。社長の好意で薬剤師のアルバイトを続けながら格闘技にまい進したのですが、身体を壊すという思わぬ出来事でプロ格闘技を断念。そうして目標を失ったときに父親の生き方を見直したことで、心機一転、まったく未知の服飾縫製の世界に飛び込んだのです。9年前(2008年)のことでした。
「1年間、工場に住み込みで毎日懸命に勉強しました。ミシンかけから生地の見分け方、裁断や縫製の技術、工場の動かし方まで、学生だったら3年かける勉強を1年で修得して戻ってきました。」(加々村氏)

OEM生産プラス、自社ブランドの製造販売、さらに…



そんな加々村氏は、6年目に入って自分で新しい事業を起こすことを考えます。自分で資金を準備して、アパレルの製造販売ビジネスを始めようと考えたのです。それを社長である父に告げると、それはオレもやろうと思っていた事業だということになり、二人でZOOMの新事業として立ち上げることになったそうです。
新事業は、自社ブランドのもとに社長の自由なデザインで服を製作し、ネットショップと自社店舗のセレクトショップで販売するというものです。ブランド名は一張羅を転じた“ICHORA(イッチョーラ)”。コンセプトは、秋田工場の技術力を生かした、ほかにないハイクオリティーなメードインジャパンの提案。「旅」をモチーフにして、旅におしゃれに着て行く服というイメージがベースにあり、メンズ、レディースと完全に分けることなく着ることを楽しむ服を作り、販売しています。ネット販売でスタートし、昨年(2016年)実店舗ICHORAを両国に開店しました。
「ICHORAの狙いは売り上げだけではありません。当社の技術を見てもらい、面白いことやってるねと思ってもらうことです」(加々村氏)
めざすことの1つは工場のブランド化ということ。特色と技術のあるほかにない縫製工場として、ZOOMの秋田工場を認知してもらうことです。ですからICHORAでは「メードイン大館」を前面に打ち出しています。
「上から下までのアパレルを自社で作れるというところは多くありません。うちはそれをやります。OEM生産をやって、かつアパレルメーカーも始めました。事業はいくつもやるつもりはありませんが、OEMの発展に力を入れながら新しい挑戦はしていきます。選択肢としてM&Aも視野に入れますし、他業界とのコラボレーションもやっていきます。ZOOMはいろいろ新しいことやるけどどこへ行くんだろうね、と言われるような楽しい会社、若い人が憧れるような会社になりたいですね」(加々村氏)

動画で見る「ズーム」

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