恩田金属製作所

オンダキンゾクセイサクショ

[業種]大分類:製造業 中分類:金属製品製造業 小分類:金属素形材製品製造業

会社紹介 PICKUP特集

溢れるアイディアを加えて、絞り加工の文具でヒットを生み出す

自社開発商品を育てる絞り加工メーカー

恩田金属製作所は、深絞り加工・フォーミング加工を得意とする金属加工会社です。絞り加工では、平面ブランク材(打ち抜き材)を底があり継ぎ目のない容器に成形する加工や、金型の設計から行うトランスファープレス加工による製作で技術力を発揮しています。
製品分野は、金属文具・筆記具から化粧容器、電子・弱電関係の部品まで幅広く対応し、企画開発段階から参加する試作品、特注品の製作にも力を入れています。
特に金属文具の製造は、1923年の創業以来続けてきた同社の中核事業。あの懐かしい鉛筆キャップや、短くなった鉛筆を持ちやすくする補助軸などが主要製品なのですが、じつは、この分野をベースにした、ちょっとオシャレで実用性も高い商品開発で同社は今躍進を続けているのです。例えば、補助軸の製造技術を応用したタッチパネル操作用のスタイラスペンや、銀座伊東屋オリジナルの鉛筆補助軸(エクステンダー)の開発、製造。スタイラスペンは、iPadなどタブレット端末の普及で製造が追いつかないほどですし、伊東屋のエクステンダーはシンプルで機能的なデザインがグッドデザイン賞を受賞しました。
こうした意欲的な商品開発は現社長の恩田博氏が始めたもの。下請け的生産から脱却し、自社商品を持つメーカーへの転換を目指した挑戦でしたが、今や売上の9割程度は自社で開発から携わった製品によるものになっているそうです。



商品アイディアから製造、販売までを一貫して自社で

  • アイディア商品次々

    トランスファープレス加工機も自社用カスタマイズを自分の手で行いました。潤滑剤の調合も、何年もかけて最適な比率を見つけ出しています。

  • 自作のトランスファー

    トランスファープレス加工機も自社用カスタマイズを自分の手で行いました。潤滑剤の調合も、何年もかけて最適な比率を見つけ出しています。

  • 創意工夫を忘れない

    開発過程でさまざまな創意工夫を加えて使いやすさを高めます。このエクステンダーの握りの凹凸も、鉛筆を締め付けるためのねじ山を兼ねています。

下請けを脱して自社商品でやっていく道で成功

「12年前くらいにパタッと注文がなくなったことがあります」と恩田社長は振り返ります。金属文具の生産が一気に中国へと移った時でした。しかし恩田氏は諦めずに、コストダウンを追及してトランスファープレス機による自動化に取り組みました。自動化設計も金型製作も自分で行い、発注すれば多額の費用がかかるところへコストダウンを実現し、自動機を作り上げたといいます。
「不良を最小限にする潤滑剤の開発も含めて5年かかりましたが、コスト面で中国に対抗できるまでになりました。現在は中国も生産コストが上昇し十分勝負できます」
しかしその後、恩田社長は、注文をこなす下請け的な生産はコスト競走になるだけと考えます。
「そこで、自社で商品開発から行う“メーカー”を目指しました。もともとアイディアを考えるのが好きだったのと、オシャレな文具を作りたいということがあって、試作してはわかってくれそうなところへ売り込みに行ったのです」
その1つが、ラバー塗装した鉛筆補助軸。銀座の伊東屋さんに持ち込みました。
「会って1回目で即、やりましょうということになりました。そんなことは滅多にないことだそうですが、私としてもこの取引が大きなステップになりました」
これが2006年のグッドデザイン賞を獲得し、恩田博氏のデザイン力と開発力を証明することになったのです。その後、さまざまな自社開発商品を作ってきて、今ではそれが売上全体の9割にも上ります。



使って喜んでもらう文具にこだわっていく

現在同社のメンバーは恩田社長、奥様、お母様、そしてパートの方1人の計4名のみ。新商品を考えるのは社長、つくるのはみんなで、の超小規模経営です。しかしそのパワーはなかなかのもの。
「思いを込めて、使って喜んでもらえるものを考えています。大体デザインが先にあって、そこから構造を考えて図面を引いて作ってみて、という感じです。創意工夫はいつも忘れないようにしています」
最近の注目の開発商品は、鉛筆補助軸を応用した光の具合で色が変わる消しゴムホルダーや、線を引くときに滑らない定規など。この定規は、裏にラバー樹脂印刷を施すとともに、スリットを入れてバネ性を付けてあり、軽く抑えるだけでピタッと固定できて線を引くときに失敗しません。
最近では、著名な工業デザイナーや建築家などから声をかけられることもあり、和風照明や創作家庭用什器の製作をお手伝いする例も出てきているといいます。しかし、やはりメインのフィールドは文房具。「これからも文房具の中でやっていきます」と、恩田社長は笑いながら決意を述べています。



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テクノシティすみだ PICKUP企業特集 vol.4-1 「恩田金属製作所」

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