株式会社加藤製作所

カトウセイサクショ

[業種]大分類:製造業 中分類:生産用機械器具製造業 小分類:その他の生産用機械・同部分品製造業

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自社ブランド“Triple K”で復活を果たした切削加工メーカー

金型、建築用部材、そしてレーシングカート部品で切削技術を発揮

加藤製作所は、高い精密切削加工技術をベースにした鍛造金型、プレス金型の製造と、建築用の金属製部材、その他機械部品の製造に加えて、自社ブランド“Triple K(トリプルK)”によるレーシングカート(スポーツカート)部品、レーシングカー、レーシングバイク部品、携帯電話ケースなどの開発・製造を行っている金属加工メーカーです。
昭和初期に針金加工製品から始まって金型製造へと発展した3代続く町工場です。現在は、金型製造を中心とした押上の本社工場と、Triple K製品を中心とした八広の第2工場の2工場による、設計・開発力と精密切削加工を武器にした設計~製造の社内体制を築いて幅広い依頼に対応しています。また、切削加工以外の板金加工、射出成型加工、プレス加工などや、後工程となるメッキ、アルマイトその他の表面処理、組立も、協力会社との連携によって対応可能な体制ができていて、設計から納品までの一貫した受注体制が備わっています。
Triple Kブランドは取締役の加藤雅規氏が2007年に立ち上げ、今ではスポーツカート愛好者の間ではよく知られたチューンアップ部品のブランドに育っています。レーシングカートとは、基本的に、パイプフレームにエンジンと車輪、座席を取り付け、操縦はステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダルの3つのみで行うという非常に単純な構造のミニマムカーです。ただし、そのレースはF1などのレーシングドライバーへの登竜門とも言われていて、国際的なレースも多く開催されています。国内でも全日本カート選手権レースや各地のレースがあって、様々なクラスに分かれて競技が行われています。
同社のTriple Kカート用部品としては、車軸に車輪を固定するハブ、車軸を回転させるスプロケット(チェーンをかけるギア)、エンジンやラジエターのマウント、ペダル、ステアリングホイールの調整パーツなどがあり、毎年多くの新製品が開発されています。同社はさらに、2輪車用レーシング部品をレーシングチームやバイクショップと共同で開発していて、これもTriple Kブランドで製造しています。また、異色な製品として人気スマートホン用の極薄金属ケースがありますが、これは1枚のジュラルミン板からの削り出しで作られるもので、同社の切削技術の高さをアピールする製品にもなっています。
こうしたTriple K製品の開発、製造は、同社の技術力を高める原動力にもなっていて、特殊鋼、ステンレスからアルミ、銅、カーボン、樹脂に至るあらゆる素材の精密切削加工と、品質が重視される多様な製品の開発・製造を拡大していくための技術基盤形成に役立っています。



高精度な切削加工と設計からの一貫製造が強み

  • 精密切削加工の技術力

    CADCAM技術とマシニングセンタ、そして独自のノウハウで実現する高精度な切削が同社の強み。1000分の5ミリまで可能です。

  • 設計・開発から製造まで

    こんなものが欲しいというイメージから製品を設計、開発して、製造までを一貫して行います。自社に3Dスキャナー、3次元測定器、3DCADを設備して設計開発を行い、多彩な協力会社と連携した製品の提案、開発が可能です。

  • モータースポーツ用部品

    Triple Kブランドでスポーツカート部品、レーシングバイク部品を開発・製造・販売しています。カートファンには高い知名度があります。

人脈に救われ人脈を強みにしてきた

「会社はこうなってつぶれるのかと知りました」
と、第2工場を率いる加藤氏は2008年のリーマンショック後の危機を振り返ります。
「リーマン以前はほとんど金型製造一本で、それも受注はほぼ1社に頼っている状態だったのですが、その受注がぱったりと止まりました」
加藤氏は工業大学在学中にレーシングカートにはまり、アルバイトをしながらレースに参加していました。2004年に卒業して就職したのですが、2年後に実家の業績が悪くなってしまい退職して加藤製作所に参加。その1年後、レースをやっている友人、チームから部品製作の依頼が増えたことから、大学時代の仲間3人が集まって本格的に部品製作を開始しました。そのブランド名を「Triple K」としたのは、3人の名字の頭文字が「K」だったことによります。その直後、リーマンショックが同社に影を落としたのでした。



「金型がだめになり、カート用部品と建築用部材で食いつないでいったのですが、その時に周りにいた人たちに助けられました。カートの同好者には中小企業の社長も多くいて、そういう人たちに仕事を回してもらいましたし、4輪も2輪も紹介をしてもらったのです」(加藤氏)
それ以来、経営を立て直す中で人脈が同社の大きな強みになりました。浜野製作所をはじめ区内にも協力関係を結ぶ会社ができ、お客様に対して切削加工以外にも提案の幅を広げることが可能になっています。

金型、カート部品の次にくる新ジャンルを求めて

国内で使用されるスポーツカートはイタリア製が主流ですが、チューンアップ用部品はTriple Kが国内ではNo1で、専門メーカーも同社以外にはそれほど多くは見当たりません。同社の強みは、レースを経験し社内で開発も経験したエンジニア達が開発、設計、製造にあたっていることだと加藤氏は言います。工場事務所にはレースの優勝、入賞カップがずらり。長い間自身でのレースへの出場はありませんでしたが、昨年たまたま足を怪我したことでそのリハビリを兼ねてレース出場を再開しました。
「自社の部品を自分でテストすることにもなります。今後もレースの現場から評価を得ながら、自分たちの強みを生かして部品づくりをしていきますし、好きだったカートで仕事ができるのは幸せです。ただ、スポーツカートの競技人口は数千人くらいで部品の市場もそう大きくありません。カート部品は事業の1つの柱で競争力もありますが、将来大きく伸びるとは思いません」(加藤氏)
現在、同社の事業比率はおおむね金型が30%、Triple Kが30%、建築部材が20%、その他20%といったところ。今後は、カート部品以外のTriple K製品やその他の部分で新しい分野を切り拓きたいと加藤氏は言います。
「リーマンショック後にいろいろ新しい仕事を開拓しましたが、見積額で競争して受注することは極力しないで来ました。価格競争でなく、うちにちょうど合った仕事をするという姿勢でした。これからも、大量生産でない、品質や精度で当社の技術力が発揮できるもの、提案と設計から関わって付加価値を提供できるものをやっていきたいですね」(加藤氏)
そこでは地域に根差した幅広い人脈が強みを発揮するはずです。
「新しいジャンルに出会えれば面白い。5年後はわかりませんよ」
と、加藤氏は新たに導入した3Dスキャナを操りながら笑っています。

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