株式会社野中製作所

ノナカセイサクショ

[業種]大分類:製造業 中分類:金属製品製造業 小分類:洋食器・刃物・手道具・金物類製造業

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スクリューポンチ、世界が評価するメイドインジャパンをつくる

スクリューポンチを最初に開発、製造したメーカー

“スクリューポンチ”をご存知でしょうか。レザークラフトや手芸をやる方にはお馴染みになっているねじ込み式穴あけ道具です。野中製作所は、このスクリューポンチを1977年に開発し、以来その製造にこだわって国内だけでなく世界に愛用者を広げてきました。
スクリューポンチは、木製の握りに内部にらせんを刻んだ金属製の細い円筒が付いた道具で、先端に穴あけ用の丸い刃が隠れています。穴をあけたい革や布などに先端を当てて押し下げると、力を入れなくてもスムーズに刃が回転してきれいに穴をあけることができます。刃は替えることができ、1.0mmから5.0mmまで11サイズの替刃がそろっています。類似の製品も多く出ているのですが、切れ味の良さと使いやすさでユーザーの支持は非常に高いものがあります。海外でもメイドインジャパンの優れた道具として愛用者が増えていて、同社では直接輸出販売もしています。現在製品の3割程度が輸出されていると見ています。
野中製作所は、現社長・野中機良氏の祖父が1908年に創立し、戦前は足袋のこはぜを縫う特殊ミシンの製造で発展しました。その後父の機一氏が二代目社長となり、戦後ミシンの糸巻きに関する特許を取得してその精密部品を製造していましたが、1972年ある紳士服テーラーから、ボタン穴をあける音のしない道具を作ってほしいという依頼を受けたことがスクリューポンチ開発のきっかけになりました。それまで穴あけは、刃の付いた金属棒を木槌で叩いて行っていたので大きな音がしたのです。
そして1976年、ねじ込んで穴をあける「スクリューポンチ」の開発に成功、翌年実用新案を取得して本格的に製造を開始し、現在は跡を継いだ機良氏が、スクリューポンチの専業メーカーとして同社の歩みを守っているのです。



類似品の多い中、レベルの違う性能を発揮

  • スクリューポンチを開発

    スクリューポンチの仕組みを考案し、誰でも使える道具として製品化したのが同社。今でも類似製品の中で一段高い性能評価を得ています。

  • 刃の研ぎに独自技術がある

    同社のスクリューポンチの優れているのは切り口がきれいな点。刃先の研ぎに秘密があり、鋭角で均一で硬く、抵抗の少ない切れ味を実現しています。

  • 優れたメイドインジャパン

    スクリューポンチは海外でもレザークラフトや手芸作品のプロ作家の口コミで広がり、メイドインジャパンの優れた道具として高く評価されています。

切れ味の鋭さが違う野中のスクリューポンチ

「父は機械いじりが好きで、工夫を凝らすのが得意で、発明家的なところがありました。それでスクリューポンチを開発したのですが、量産するのに必要になったらせんの筒を製造する専用機も自分で製作したのです。これは15年ほど前にNC機に換えましたが、製品の各部品の形状は最初の頃から基本的に変わっていません」
と社長の野中氏が当時を振り返って語ります。野中氏が同社に入ったのは26歳の頃で、スクリューポンチの製品化を手伝い、販路の開拓に走り回りました。
「構造の方では実用新案権を取得したのですが、名称の“スクリューポンチ”は一般名詞ということで商標登録できませんでした。15年で新案権が切れると、その後類似のスクリューポンチがいろいろ出ましたが、うちのスクリューポンチのは他と比べても高い評価をいただいています。違いは切れ味を良くする刃の研ぎ方にあります。これは他ではできない独自のものです」(野中氏)



最小径1.0mmという細い円筒の先に刃を作るのですから、その研ぎの技術とノウハウはかなりなものと想像できます。ある大手精密機械メーカーが、他では製造が無理だった1.0mm径の刃を同社に数100本発注したこともあったと言います。
野中氏も父に似て機械仕事が好きで、長い間こつこつとスクリューポンチ製造を続けてきました。
「精密機器の部品加工はいろいろやりましたが、製造の海外シフトで発注が減少し、今はこのスクリューポンチ一本でやっています」
他と比べて価格は高めですが、価格競争に加わることは決してないと野中氏は胸を張ります。

海外での評価も高いメイドインジャパンの道具

スクリューポンチの商品パッケージは、MASAMI DESIGNの高橋正美さんが2005年にリニューアルデザインしたもの。高橋さんは墨田区内の中小メーカーとのコラボレーション例も多いデザイナーさんです。ゆるキャラ風の「スクリューマン」が印刷された透明パッケージは、目に留まりやすく親しみやすいツールが表現されています。
このスクリューポンチがしばらく前から、隠れた優秀な道具として、そのユーザーであるアーチストや作家と共にテレビ番組やネット上で紹介されることが多くなっています。これによりさらに認知が広がり売上にもいい影響が出ていると野中氏も感じているようです。特に、フランスの製本家が革表紙の加工に使っている例を、メイドインジャパンの優れた道具として紹介した番組が評判を呼んで、同社にも一時問い合わせが集中したと言います。
「ヨーロッパ、アメリカ、ニュージーランド、それにシンガポールあたりでユーザーが増えているようです。販売会社から言われて、握りの部分にMade in Japanと入れたのですが、その後注文が増え、日本製への信頼の高さを感じました。直接注文してくる人もいて、先だっても和紙を使う工房をフランスでやっているというフランス人が突然当社にやってきました。逆に、私のほうもニューヨークやロンドンのユーザーを訪問して声を聞かせてもらっています」(野中氏)
今は実質的に1人で製造を担当しているスクリューポンチ。「そうたくさんは作れない。ほどほどにしないと休みも取れない」と笑う野中氏ですが、後継者を育てたいという気持ちもあります。
「せっかくメイドインジャパンの道具として評価されて、世界に愛用者が増えていますから、これを次の世代に受け継いでもらいたいですね」
と、野中氏は、元祖スクリューポンチのこれからに思いを巡らせているようです。

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