株式会社平澤製作所

ヒラサワセイサクショ

[業種]大分類:製造業 中分類:金属製品製造業 小分類:建設用・建築用金属製品製造業(製缶板金業を含む)

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もの作りの誇りが残る建築金物の職人工場

公共的な建築物の大物金物を製造

平澤製作所は建築金物専門の職人的な町工場です。立地はJR錦糸町駅南口から1キロほどのところで、道をはさんで工場と事務所が分かれています。この地を事業拠点としたのは70年ほど前のことで終戦後間もない時期。ちなみに、戦前は先々代の社長が小岩で金庫を造っていたそうです。移った時から変わらない事務所の建屋は、木枠にすりガラスの引き戸に土間の事務所と2階建ての住居という、古い昭和の匂いいっぱいの佇まいです。向かいの工場は20年前に建てたもので、奥行20メートルほどのビルの1、2階部分をぶち抜いた、天井クレーン付きの広い空間があります。
同社が製造するのは建築金物でも大きなものが多く、例えば門扉、外柵やフェンス、階段と手すり、バルコニーの手すりといった金属製の設置物が主体です。建物の外回りに設置されるものが多いのですが、公共的な建物の中に設置されるようなものもあります。これまでに建築金物製造で関わった建物には、上野の東京都美術館、国立西洋美術館、JR東京駅旧駅舎やその他の駅ビル、大学、丸の内地区のビルなどがあります。競馬場のゴール板の枠といった特殊なものも手がけたことがあります。
発注元は主にゼネコンや建築会社とつながりを持つ建築金物の一次専門業者。製造は図面をもらっての一品作りで同じ物は2つとありません。機能性を重視しながらオリジナルなデザインが施されたものも多くあります。社長自ら製造用にCADで図面を引き直すことができ、複雑な形状で加工が難しいものでも要望どおりに作ることが可能です。
同社はいま、社長の平澤龍男氏と弟、姉の3きょうだいが動かしていて、社長が図面と機械加工、弟が溶接加工、姉が事務という分担。細部にまで気を配ったていねいなもの作りが信条で、現場で取り付けを行う施工業者から手直しを頼まれたことがないのが自慢です。
また、近年はこうした建築金物とは別に、すみだ地域ブランド戦略で進められる「ものづくりコラボレーション」に参加し、デザイナーとのコラボで、名刺入れや書類トレイといったステーショナリーを制作しています。




長い職人経験をバックにていねいなもの作り

  • 職人技が生きる建築金物

    65年を超える実績を持つ同社は、蓄積された職人の技と緻密な製造設計ノウハウによって、大物の建築金物をご要望に応じた形で製造できます。

  • 取り付け現場を考えた製造

    完成した建築金物は別の施工会社によって取り付けが行われるため、現場の作業がスムーズに進むような心配りのある製造に努めています。

  • もの作りコラボレーション

    遊び心のある金属製の製作物、デザイナーとのコラボレーションによる商品開発にも挑戦し、すみだのもの作りを発信しています。

ただ図面どおりではない細部へのこだわりと気配り

「2年前に亡くなった先代社長の父には、そこまでやらなくてもいいよと言われたものですが、細かいところにこだわってしまうたちで、ステンレス磨きも自分が納得いかないと気が済まないのです」
そう話す社長の平澤龍男氏は、工業高校の建築科と専門学校の建築科を卒業してすぐ同社に入って以来、建築金物づくり40年の熟練職人です。
「父は何でも自分でできる職人でした。私が入った当時は職人も5、6人いたのですが、父は煙草をくわえて、いつも通り道路をはさんだ工場と事務所を行ったり来たりしていました。好景気でしたからびっしり仕事があって、夜遅くまで働いたものです。父はらせん階段を作りたいと考えて、20年前に天井の高い工場を建てたのですが、結局らせん階段の注文はありませんでした」



景気の下降とともに近隣に多くあった建築金物の工場も、90年代から2000年代にかけて近県への移転や廃業で、めっきり減ってしまったそうです。その中で同社は、しっかりとしたもの作りで残ってきました。
「大事にしているのは加工での気配りです。図面に忠実なのは当然なのですが、図面の寸法どおりでは端数が出てしまい、それが積み重なってズレるといったことがあります。CADで図面を起こして調整したり絵を描いたりして、それを頭に入れながら材料を切っていきます。少し前、新しい取引先の仕事をしたら、取り付けの現場の人から、心を込めて作っているのがわかると言われました。これは嬉しかったですね」
と平澤氏は笑顔で職人の喜びを語ります。

もの作りの気概を守ってやりたい仕事をやっていく

以前は、発注会社も取り付けの施工会社も仲間内の関係があったので、作ったものがどう評価されているかがすぐわかったといいます。今はそれぞれがばらばらで声が届かないのです。
「昔は、うちが作ると決まれば、そのゼネコンの現場の所長が工場を見に来たものです。今は電話とファックスとメールで進む注文が多くて、取り付けた後もどうだったかわからないことが多いですね」
と平澤氏は残念そうに言いますが、そのとなりで聞いていた弟氏が、「でも・・・」と言いました。
「でもこの前、取り付け屋さんの話で、平澤さんのところの物は取り付けが楽だ、平澤さんの物をやりたいと言われました」
わかる人はわかってくれていたという事でしょう。そして、平澤氏はきっぱりとこう言います。
「受注価格を下げて、規格の決まっているもので仕事量を増やすということは、うちではできません。1つ1つ違うもの作りで、やりたい仕事をやっていきたいと思います」




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FAX03-3631-2095
担当者平澤龍男
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