トヨシマ技研株式会社

トヨシマギケン

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天然石の水質処理効果を引き出し、地球環境を守っていく

天然石の水質処理装置「GSノンスケール」の開発・製造

トヨシマ技研では、それぞれ別の工場によって2つの事業を展開しています。1つは環境関連機器の開発・製造で、もう1つはステンレスを中心にした注文金物の企画・製作です。創業は昭和35年(1960年)と古く、自営で建築金物など金属製品の加工を行う豊島製作所としてスタートし、その後ステンレスを中心にした各種金物のメーカーとして事業を続けてきました。その後、2004年に別会社、有限会社トヨシマを設立して環境関連機器の開発・製造に取り組み、2006年にこれと豊島製作所を統合してトヨシマ技研株式会社としています。
環境関連機器事業では、社長の豊島康夫氏が開発して特許を取得している水質処理方法を基にして、各種の水質処理装置の開発、製造を行っています。装置は製品名を「GSノンスケール」といい、ある地域から産出される緑泥石族の砕石などを、水が通過できるステンレス容器に密に収納したものです。ビル、工場などの空調設備や製造過程での冷却装置、浴槽、プールなどで使用している循環水の経路内に設置することで、水質が悪化してもスケール(*1)、スライム(*2)の付着抑制、金属部分の腐食防止、および、微生物の繁殖の抑制といった効果を発揮することができるという装置です。緑泥石が微細な多孔質であることで、含まれる多様な金属元素のイオン化したものが生み出す効果だということです。こうした循環水の水質改善には薬剤を利用することが多いのですが、GSノンスケールは薬剤を使用せずメンテナンス作業もほとんどなしで、また電気など動力源も必要ないため、環境負荷を低減できランニングコストも大きく低減化できるようです。
販売、設置は多くの代理店に任せ、同社は、注文に応じた製品製造、製品試験データと資料の提供、新製品の開発などメーカーとしての業務に徹しています。すでに、大手企業の事業所を中心に、全国各地と東南アジアで導入実績を増やしています。
ステンレス製など注文金物の企画・製作事業は、社長の息子さんで常務取締役の豊島潤氏が担当しています。建築、店舗などに取り付ける建築金物から、インテリアに使うオブジェや装飾金物、さらには障がい者用のスポーツ器具などを、注文に応じて企画、考案して製作しています。また、独自商品の開発も行っています。

*1スケール:水中のカルシウムやシリカなどが濃縮する場所で、析出して配管の壁面などに付着したもの。
*2 スライム:ぬめりのこと。水中のたんぱく質などを栄養源に細菌類が繁殖して集まったもの。






安全、安心な水質処理を実現するGSノンスケール

  • 独自開発の水質処理方法   特許 4533463

    天然の特定の鉱物が持つ性質を利用した、安全で効果の高い水質処理方法を発見し、水質改善装置を開発しました。この方法で特許も取っています。

  • 薬剤使用がない高い安全性

    GSノンスケールは薬剤をまったく使用しない水質改善装置です。排水による環境負荷を大きく低減し、安全、安心な水の利用に貢献します。

  • 試用で効果を確認後に導入

    GSノンスケールは、場合によっては3カ月程度の無償の試験試用を行ってデータを検証し、納得いただいた後に本番の導入をしていただくこともあります。

下請け仕事から独自の水質処理開発へと転換

「水に興味を持って、3年間一生懸命勉強して、専務の高井(高井一雄氏)と装置を開発したのです」
社長の豊島康夫氏はGSノンスケールの開発をそう振り返ります。
大学を出て2年やった会社勤めに嫌気が差し、豊島製作所に入社したものの、発注先の景気一つで使い捨てられるような下請け仕事にも疑問がありました。理不尽なクレームに腹を立てて発注元のゼネコンの本社に乗り込み、「思わず部長の机を蹴飛ばした」(豊島氏)こともあったと笑います。そして下請け以外の仕事を考えていた時、身体を悪くした友人が、良い水を求めて遠方へ出かけていることを知って、水の良い悪いとはなにかに好奇心を持ったそうです。
「調べているうちに環境問題にぶつかり、多くの事業所から水質処理の薬剤を含んだままの排水が流れていることを知り、何とかできないのかと思いました」
高井氏が東京海洋大学出身(現、東京海洋大学)の出身だったことから、同大学で食品の安全管理にも詳しい教授にも教えを乞い、段々にイオン化傾向と水質変化には関係があるということがわかってきました。



「イオン化なら私のやっている金属と接点があります。そこで、金属元素の多い石を探そうと、東北大学の地質学の先生を紹介してもらって、各地の石を分析してもらいました」
豊島氏は、水に溶けて陽イオンとなる元素、つまり金属元素を種類多く含む岩石を探したのです。やがてある採石場で捨てられている緑泥石を見つけて、ピンときたと言います。
「分析したところ多孔質でしかも大半の孔が貫通しています。元素も非常に種類多く含んでいました。凄い石だったのです。高井と共に、これを使った活水化装置を作り、水処理方法を特許申請しました。用途はまずクーリングタワーの水質改善をねらいました」
もちろん、すぐに売れたわけではありませんが、ある電機大手で電池工場の稼動に関わった元役員の方が、この水質処理による工場排水の水質改善に興味を持ってくれたという幸運もありました。その人脈で多くの電機メーカーとのつながりができ、工場での採用実績をあげることができたといいます。
GSノンスケールの製造には、工場の環境や人員を新たに用意する必要がありましたが、豊島氏はそうしませんでした。
「昔から工場は大きくしないと決めていたのです。墨田区には得意分野を持った小工場がたくさんあり、そのネットワークでやっていくことにしました。餅は餅屋で、です。これは金物の企画・製作事業の方でも同じで、協力会社は最大時で27社ありました。大事な存在ですから、お客とは喧嘩しても協力会社とは喧嘩してはだめだと言っています」

今考えるのは、若い人たちにどれだけ何を残せるか

「私も元々職人ですから、形にするところにこだわりがあります。自前でいろいろ作ってしまい、開発費を使いすぎてしまうのです。こんなに使わなければもっと大きな会社になったのに、と妻に言われます(笑)。計理士さんにも、給与が出せませんよと言われましたが、給料は要らないから遊ばせてくれと言っています(笑)」
そんな豊島氏は以前から、水質処理での関わりで知り合った人たちと研究会を開いています。「水に関わって会う人が変わりました。大学の先生や、異業種の大手企業の方とも話す機会が増えました」という豊島氏が、「どーせならでかいことをやろう」ということで取り組んだのは海洋の環境問題。船舶は、船体のバランスを取るためにバラストに海水を貯めたり棄てたりしますが、外来種の小生物・微生物が近海に放たれることで問題が起きないよう、バラスト水の処理システムが必要になっています。そこで研究会では、マイクロバブル発生器や銅イオン発生器などと同社の水処理方法を組み合わせて、バラスト水用の無菌化処理プラントを開発し、現在第1号機を目指して陸上でのテスト等をしているそうです。このプラントは、養殖魚の稚魚の生存率を改善する研究にも使われ、学会発表もしています。
そして同社は今、経営理念に、化学薬品の使用削減、CO2発生削減に寄与して地球環境を守っていくことを掲げています。
「地球そのものが良くなってくれればいいと思います。良い思いをしたいとは思いません。継承が大事です。後から来る人のために、若い人たちにどれだけ何を残せるかだと思っています」
と豊島氏は、この町工場から大きな働きかけができるよう、元気にものづくりを続けていくつもりです。

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