中嶋工営

ナカジマコウエイ

[業種]大分類:製造業 中分類:輸送用機械器具製造業 小分類:自動車・同附属品製造業

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自作の治具が支えた溶接職人50年のキャリアを

熟練の職人トリオで幅広い溶接の注文に応える

中嶋工営は、中嶋三雄氏が経営する職人的な溶接専門工場です。自動車部品や建築金物、各種配管、その他金属製部品、雑貨の幅広い溶接加工をこなします。単品もの、多品種少量加工に対応し、製品の大きさは長さ3m程度まで、重さ50kg程度までの小物が中心ですが、仕上がり公差1~0.5mmの微細な加工に対応可能です。
溶接技術としてはアーク溶接が中心で半自動溶接、ティグ(TIG)溶接、手棒溶接を得意としていて、ロウ付け加工も行います。対応する金属はステンレス鋼、アルミニウム、銅、しんちゅう、ニッケル合金、チタン合金などほとんど全て。日本溶接協会が認定する半自動溶接技能者とステンレス溶接技能者の資格も継続して取得していて、JIS規格に適合した溶接加工が可能です。
代表の中嶋三雄さんは、この道50年を越える叩き上げの溶接職人です。ほかに2人いる職人さんは意外なことに2人とも女性。1人は中嶋さんの奥様で、もう1人も昔からずっと一緒にやってきた方。「2人とも男の職人がかなわないほどのウデを持っている」と中嶋さんが太鼓判を押します。

どんな金属にも対応する溶接の技

  • 熟練の職人の技

    50年以上の経験を持つ中嶋さんを中心にした職人トリオが熟練の技を発揮して、滑らかで強度のある溶接加工の仕事をこなします。

  • どんな金属にも対応

    ほぼすべての金属の溶接加工が可能です。難しいといわれるチタンの溶接も、独自の治具を利用して高品質な仕上がりを提供しています。

  • 工夫が光る自作治具

    必要な治具はすべて自分で作成するのが、中嶋氏がこだわってきたやり方です。工夫を凝らした治具が、難易度の高い注文に応えてきています。

この道50年のもう1つの技は治具作り

中嶋さんが、静岡の生まれ故郷を出て、愛知県の自動車部品工場に就職したのは昭和38年(1963年)、15歳のときでした。いわゆる“金の卵”の集団就職でした。ここで初めて溶接を習い、18歳になってから墨田区立花にあった町工場に移り、10年間溶接の腕を磨きました。そして、奥様と2人で独立。1976年、28歳でした。
「自分の工場を持ちたかったのです。最初の1カ月は仕事が1件もなくて寝ていました(笑)。先輩から仕事を紹介してもらい、またその先へとつなげていきました」
と中嶋さんは振り返ります。その後、経済成長の波に乗って注文は増え続けました。月に数千個の量産注文も受け、休みなく働いきましたが、やがて90年代の不況期に…
「ちょっとうまくいくとバブルが弾けて3分の1になって、少し良くなったと思ったらリーマンショックでまた3分の1」
良いとき悪いときを繰り返して今までやってきたと中嶋さんは笑います。



その中嶋さんがこれは他に負けないと言うのが、今まで長い間に作ってきた治具のストックです。例えば、チタンの溶接用のシールドガス吹出口。アーク溶接はアークの周囲にシールドガスを送って空気を遮断しながら溶接するのですが、チタンの溶接では、製作物の形状に合わせてこのガスの送出を微妙に調整する必要があります。そのための吹出口を製作物ごとに工夫を凝らして作成しています。
自作の治具で多いのは、溶接を正確に施すために材料を固定する支持ツールで、経験のある職人ならではのアイディアが盛り込まれています。見せていただいたレザークラフト用の刻印づくりでは、自作の治具が金属の柄を垂直に支え、正確に刻印ヘッドに当たるようにし、ロウ付けで2つをつなげていました。こうした治具が何段もの棚に重なるように置かれ、その数は何百個あるかわかりません。
「どれだけ治具を作ったか、自分でも覚えていません」
と中嶋さんも言いますが、この治具の山が中嶋工営の歴史を語っているようです。

仕事の上がりが見えるようになったのはこの10年

「うれしいのは、お客様が仕上がりを見て喜んでくれるときです。納得いく仕事ができて、思ったとおりのビード(溶接痕の盛り上がり)がきれいに出て、お客様が見たとたん驚いて顔がパッと変わる、その瞬間がうれしいのです」
と語る中嶋さんですが、じつは若い頃はずっと仕事が怖かったと言います。
「材料を預かって製品を作るのですが、それができるかどうか、オシャカを出しはしないかといつも怖かったのです。夢を見ることもありました。自信がもてるようになったのはこの10年のことです。治具もパッと頭に浮かぶようになりました。要するに、段取りがすぐ浮かぶということです」(中嶋氏)
注文をもらって瞬時に、こうやればこの仕事ができるなと分かり、仕上がりが見えるようになってきたそうです。やっとそうなれたという裏には、必ず納期に期待通りのいい品物を納める、という中嶋さんの職人としての強い責任感があったからでしょう。
中嶋さんは、「よくここまでやって来られたと思います」と言いますが、まだまだこれからです。

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