有限会社アド化工

アドカコウ

[業種]大分類:製造業 中分類:プラスチック製品製造業(別掲を除く) 小分類:工業用プラスチック製品製造業

会社紹介 PICKUP特集

困ったときのアド化工頼み 3代で伸ばす真空・圧空成形

カバー製品が得意な真空・圧空成形メーカー

アド化工は、真空成形、圧空成形を中心技術にもつ樹脂加工メーカーです。量産品ではなく、1製品50個以下程度の多品種少量生産による製品がほとんどで、1個からの試作にも対応しています。製品として多いのが各種の“カバー”部品。例えば、航空機や列車の座席の肘掛カバー部分、座席の背中に付いているテーブル、医療用機械の椅子の肘カバーやベッドの部品、歯科治療の椅子の肘カバーや小テーブルなどです。最近増えているのは自動車の内装パーツで、ダッシュボード周りのパネルや、ドアに付くパワーウインドスイッチ部分のカバーといったプラスチック部品類です。
真空成形とは、熱して柔らかくした樹脂シートを金型の上に置き、金型の小さな穴から急速に空気を抜いて、シートを型に密着させて成形する加工法です。圧空成形では、空気を抜くと同時にシート側に圧縮空気でさらに圧力をかけます。
真空成形は大量生産や精密部品の生産には向きませんが、射出成形に比べて大きな製品の成形や大きな面の反りの発生を抑えた成形ができます。また、試作時には木型からの成形が可能で、より低コスト、短期での試作ができます。
真空・圧空成形では金型に沿って樹脂シートが延びるため、各部位の厚さを均等に仕上げるのが難しいところ。そのための金型の作り方、成形時の熱の当て方などに様々なノウハウが必要です。また、季節、温度、湿度などの環境条件や、材料の保管状態によっても成形後の寸法が変わることがあり、その対処ノウハウや経験が必要です。同社はこうしたノウハウを豊富に蓄積しており、そこが同社の強みになっています。



樹脂成形の経験とノウハウが強み

  • 常に同じ製品の製造が可能

    同じ金型を使っても、その時の環境条件によって同寸法の再現が難しいのが真空圧空成形ですが、同社はピタリと同じ製品を作る技術を持っています。

  • 難易度の高い成形ができる

    真空圧空成形は経験とノウハウが重要となる加工法ですが、同社はそれらを豊富に備えることで、他社で難しい難易度の高い成形にも対応します。

  • 小企業でも充実の設備

    真空成形と圧空成形の両用機や、切削加工の5軸のNCルーターなど、小規模企業では数少ない充実した設備を備え、幅広い注文に応えています。

“困ったときのアド頼み”の信頼感

「業界の中では、“困ったときのアド頼み”と言われることがあります」
と言って笑うのは、長谷川力男社長の次女の長谷川晃子氏です。難しい注文や極端に短納期の注文も引き受けて、高い品質で納めることができる成形メーカーという評価があるのです。
「10年前までは年末年始もほとんど休まないほど働きましたね。自動化もできて、8年前からは土日も休んでいます(笑い)」(晃子氏)
父の力男氏は若い頃メリヤスメーカーで働いていたのですが、21歳で独立、40代の後半になって将来性を考えて金型加工の業界に移ったという経歴の持ち主。47歳のとき、無痛注射針を開発した元気な中小企業として知られる岡野工業に入社し、7年半働いた後、55歳でアド化工を立ち上げました。
その力男氏の仕事上のモットーは、「道具はいいものを使え」ということ。値段で道具を選んではいい仕事はできない、という意味です。もう1つは「納品物にクレームがつかないものづくり」。



「お客様によっては検品なしで納品できるだけの信頼をいただいています。100%の不良無しは無理でも、いかにそこに近づけるかの努力は常に忘れないようにしています」(力男氏)
晃子氏が大事にしていることは、「お客様とのコミュニケーションと約束は守る」ということ。
「仕事ではコミュニケーションが大事。私は何でも言うほうですが、取引先に少々きつく言っても女性だと喧嘩になりくいでしょう?」
と言ってにこにこ笑います。

資本金の100倍の投資が道を拓いた

晃子氏が同社に加わったのは23年前のことです。きっかけは、5軸同時制御のユニバーサルヘッドを持つNCルーターの導入。小企業ではまだまだ高嶺の花でしたし、当時の同社にとっては資本金の100倍以上という投資です。しかし、導入すれば、手作業で時間がかかっていた2次加工を一気に効率化でき、品質も向上し、受注拡大も期待できます。大きな賭けでしたが、経理担当の奥様の「買おう!」の一大決心で導入が決まりました。問題は、誰がプログラムを組み機械操作をするのか。そこで白羽の矢が立ったのが、高校の家庭科の先生をしていた次女の晃子氏でした。
「CAMの講習会に行っても、サイン、コサインからまるで分かりません。毎日夜中過ぎまで必死で数学の基礎から勉強しました」
と言う晃子氏の頑張りで、NCルーターの初代担当者が誕生。力男氏はその頃をこう振り返ります。
「岡野さんからは、購入した機械はすぐに稼動しなくてもいいんだ、あわてるな、きっと動くときが来る、との自論をすり込まれていましたので実際、使えるようになるまでに半年かかりましたが全く気にはなりませんでした」
おりよく入ってきたのが遊技機カバーの大量注文。複雑な形状の2次加工をこのNCルーターの働きにより短時間で完成させることができ、その後の同社の受注の幅を広げる出発点となったのでした。晃子氏もやがて、お客様との打ち合わせから現場のまとめ役までこなすようになり、同社の欠かせない柱となったのです。
しかし、晃子氏には社長の後を継ぐ気持ちはまったくありません。一時は、同社は一代でおしまいになる可能性もありました。しかし9年前、力男氏の孫、晃子氏にとっては甥の神村哲也氏が、「ここで働きたい」と入社し、すぐにNCルーターのプログラムと操作をマスターしたことで事態は一変。今は29歳ながら工場長として現場を動かし、「交替はもうすぐ」(力男氏)、「哲也に任せる」(晃子氏)と言われる次期後継者となっています。
そして晃子氏は、神村氏に絶対の信頼を置きつつ、今後の同社の方向について、
「下請けでない自分のお客様を持ちたいですし、自社製品も作りたいですね。特徴のあるものづくりをして、お客様を紹介してもらえる会社、紹介してもらえる人間でありたいと思っています」
と元気に話しています。

動画で見る「アド化工」

≪ PICKUP企業特集一覧に戻る

連絡先

住所〒131-0041 東京都墨田区八広6-23-1
TEL03-3610-4104
FAX03-3610-4107
Emailメール送信
担当者佐藤晃子
会社紹介 PICKUP特集