株式会社優工社

ユウコウシャ

[業種]大分類:製造業 中分類:金属製品製造業 小分類:金属被覆・彫刻業,熱処理業(ほうろう鉄器を除く)

会社紹介 PICKUP特集

“機能塗装”の技術で、表面加工に独自の領域を拓く

アパレルから電子部品まで、機能塗装による事業を展開

優工社は、金属からプラスチック、ゴム、革製品、そして電子部品まで、あらゆるものに対する塗装を引き受ける塗装のプロフェッショナル企業です。事業のテーマに掲げているのは「機能塗装」というもの。着色や表面保護といった一般的な塗装だけでなく、潤滑、反射、UVカット、絶縁、導電、耐薬品、耐低温・高温など、機能性を持たせた塗装を要求仕様に応じて実現するということです。
同社は、昭和7年(1932年)創業、昭和27年(1952年)に法人化したという長い歴史を持っています。創業時は革靴のハトメの製造をやっていたそうですが、戦後ホック、ボタンの塗装へと移り、アパレル製品の小金具の塗装が中心となりました。浅草は履物と靴、浅草橋は鞄、馬喰町は洋服と、近隣には昔からファッション、アパレルの問屋街があって、同社はそこを客先にして金具塗装の商売を営んできたのです。そうした中1970年に、スキー板のビンディング(スキー靴を固定する金具)向けの剥がれない塗装を開発し、以来、機能塗装を特色とするようになりました。
同社は塗料メーカーではありませんので機能性塗料を開発するわけではありませんが、既存の塗料、顔料の選定と調合や塗装技術とノウハウによって、お客様の要求に応える機能塗装を実現します。1975年に自動噴霧装置を自社開発し、塗装ロボットを導入して高精度な塗装膜厚制御も可能にしています。こうしたことから80年代から電子部品塗装の受注が急拡大し92年には茨城工場を建設しましたが、その後電子部品製造が海外へシフトしたため、再びアパレル系の塗装が中心となりました。97年には同社自身も海外生産に踏み切り、フィリピン工場を稼動させていますが、こちらは自動車やATMの塗装がメインで本社とは分野の重複を避けています。
現在、受注の大半は大手アパレルメーカーや有名ブランド向けの金具塗装。メッキでは変色や劣化が心配される場合があり、塗装へのニーズは根強いものがあります。また、最近人気のカシオ製『Baby-G』(Gショックの1つ)の文字盤プロテクターの耐衝撃塗装や、軽量メガネフレームの塗装、神社の参拝記念の鈴など、「こんなところにも」という塗装も数多く手がけています。
そして、現在注目される独自開発の塗装といえば、蓄光塗装、ガラス飛散防止塗装、ゴム塗装の3つ。蓄光塗装とは通称夜光塗料による塗装で、非常用や夜間用の表示として引き合いが増えています。ガラス飛散防止塗装は、曲面や凹凸があるなど飛散防止フィルムで対応できないガラス製品の危険防止に需要があります。また、ゴム塗装とは、ゴム製シートの伸び縮みにも剥げ落ちない塗装で、大手ゴムメーカーに採用されています。


機能塗装で蓄積された独自の技術力が強み

  • 少量塗装に強い自動調色機

    色センサーとコンピュータ制御による塗料の配合で、小ロットの塗装向けに少量のねらい通りの塗料を作り出せ、廃棄塗料も最小限にできます。

  • 機能塗装の技術力を蓄積

    長年培った技術による機能性を備えた塗装を、お客様の要望に応じて提供することができます。「優工社にいけば何とかなる」と言われています。

  • アパレルの金具塗装

    メインの顧客には、塗装の発色と品質に厳しい要求を示す大手アパレルメーカーと大手ブランドが名を連ね、その高い評価を受けています。

データと技術で塗装の可能性を広げていく

社長の神尾弘子氏は、昨年(2013年)3月に前社長だった夫の重光氏が急逝したため、代わって社長の任に就きました。「長男が引き継ぐまでの中継ぎ」と本人は言っていますが、技術にも詳しい営業として既に25年の経験があって、リーダーとしても十分です。
神尾氏は、塗装というのは表面加工だととらえていますが、同社が言う“機能塗装”はそのことを一歩進めてとらえた表現といえそうです。
「当社は品物を塗ることでいろんなことができます。2代目社長(現会長)は、水と空気以外は何でも塗れると言っていて(笑い)、機能塗装というコトバも当社が最初に使ったと聞いています」(神尾氏)
同社の強みは、その機能塗装を進める中で培った技術。
「試して失敗したこともありましたが、お客様の要望に応えてきたことの積み重ねで技術を進歩させてきました。狙った塗装がほかではだめで、最後にうちに来たというお客様もいて、もっと早く来ればいいのにって言うのですが(笑い)、それに応えて一緒にいいものをつくることで評価をいただいてきました」
夜、塗装の試作をして、これでいけると決めた塗料と塗装法をレシピにして現場に渡します。レシピはパソコンで管理し、同社の最も重要な技術資産になっています。



そして、もう1つの強みとなっているのが、2001年に導入した自動調色機の活用です。以前は指定された色を調合するのに何週間もかかり、作る塗料は最低でも4キロ必要。実際に使うのが1キロなら残り3キロは廃棄となり、大きなロスとコスト負担と環境負荷の原因となっていました。それが自動調色機で一変したといいます。
「自動調色機は50グラムから塗料が作れます。現物の色をセンサーで入力し、原色の混合比率を測定して塗料を調合してくれるので、大幅な短納期化と廃棄ロス、廃棄コストの削減ができ、環境にもやさしくなりました。でも最大のメリットは、何と言ってもデータによって同じ色を再現できることです。小ロットの塗装にはぴったりです」
と神尾氏は導入の効果に自信を示します。しかし、塗装の課題は機械やロボットで解決できるほど簡単ではないことも十分承知しています。
「塗装は下地が大切で、そこはお化粧と同じ。下地も含めての塗装です。それに、塗るものの素材から知っていないと塗装屋はできない。奥は深いのです」
と力を込めて言います。

飛散防止塗装がヒット、新たな展開を見極める

同社では、長引いた不況の中でも、1社あたりの取引額は減少しながらも顧客数は増えてきたといいます。しかし、これまでの延長線上では成長を持続するにも限界がありそうです。
「今後どこに重点を置いていくかは、お客様の業界の動向を見ながら決めていこうと思っています。ただ、これまでのような小物部品の機能塗装だけでなく、分野を広げた機能塗装を展開したいという考えはあります。その例が、ガラス飛散防止塗装と蓄光塗装です」(神尾氏)
ガラス飛散防止塗装は、人が集まる建物や列車内での、照明のガラスカバーや装飾ガラスに採用実績ができつつあります。ガラスの良さを生かしながら地震にも備えたい、というニーズに応えています。一方、蓄光塗装は、放射線をまったく出さない蓄光塗料と、塗るものによって塗料の調合を最適にするオーダーメードが売り物の独自商品です。
「今までとは少し違う機能塗装の展開が進んでいます。特に飛散防止塗装はこれから需要が広がると期待をしています。また、大きく伸びているのが、伸び縮みしても剥げないゴム塗装で、この2つが最近のヒット商品なんです」
機能塗装の新しい展開を進めながら、今後どんな市場、どんな業種のお得意様に重点を置いていくのか。神尾氏は、同社の機能塗装の技術を活かす方向を改めて考えているのです。

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