有限会社三栄螺子製作所

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[業種]大分類:製造業 中分類:金属製品製造業 小分類:ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業

会社紹介 PICKUP特集

職人とNCマシンの共存でネジ製造を超える精密加工へ

幅広い注文に応えるネジの専門メーカー

三栄螺子製作所は昭和29年(1954年)の創業以来、ネジ一筋に歩んできた受注生産によるネジの製造会社です。1つの注文でつくるネジは1個から数百個、最大でも千個程度までの多品種少量生産。100分の1ミリレベルの精度が求められる精密機器用のネジから、土留め矢板を支持する長いパイプボルトといった建設資材用まで、多様な業種の様々なネジをつくっています。
同社には古くからの熟練した職人がいる一方で、各種のNC加工機をそろえて、どんなオーダーにも応えられる態勢を整えてきました。近年は加工精度への要求レベルが上がり、精密加工が可能なNCマシンが欠かせないといいます。特に、ネジの中心を狂いなく合わせる芯出しが重要で、繰り返し運動をする部分に使うネジは、この芯出しが正確でないとすぐにガタついてしまいます。同社では発電機のエンジン用ボルトといった製品も多く製造していて、芯出しの精度には高い技術力を発揮します。
ネジの製造法には、主に転造加工と切削加工の2通りがありますが、同社はその両方に技術力を持っています。転造は、素材の丸棒に2方向、または3方向からダイスを強い力で押し当てて、回転させながらネジ山を盛り上げていく塑性加工の一種で、加工寸法の管理さえきちんとできれば大量に安定したネジ製造が可能です。切削のほうは、古くからの旋盤や新鋭のNS旋盤を使ってネジの谷を削り出す方法で、早く製品がほしいという場合、すぐ作業に入れる手動式旋盤での切削加工がモノを言います。同社では、この2つの工法を製造するネジの量と要求内容によって使い分けて、多様なオーダーに対応しています。
墨田区は歴史的にもネジ製造の中小メーカーが集まっていた地域で、同社よりずっと以前からのネジメーカーも多くあったのですが、時代の流れと共に移転や廃業でその数もずいぶん減ってしまったといいます。しかし、標準仕様のネジや大量生産型のネジが海外に生産を移した一方で、小ロットで納期も短いものは海外で対応できないため、同社のような国内メーカーへの発注は根強いものがあります。ネジづくりの技術は、国内の機器製造を底辺で支えている重要技術の1つといえます。

ネジをベースに研いた精密加工技術

  • 長年のネジ製造技術

    ネジの製造に60年の経験があり、精密ネジから建設用ネジまであらゆるネジをつくってきました。精度は100分の1ミリレベルまで対応可能です。

  • 職人技+NC加工機

    ネジづくり専門職人の技と、NC加工機の高精度・高効率な加工能力が協力し、試作品や超短納期のものから1000個クラスの注文まで対応します。

  • 金属精密加工への拡張

    ネジ製造で培った精密金属加工の技術と、NC加工機、マシニングセンタ等の設備を活用して、ネジだけでない幅広い精密加工へと進出しています。

職人の技術とNCマシンの効率が共存する強み

社長の羽島昭吉氏は、大学卒業後鋼材商社に入って金属加工の知識も積んでから三栄螺子製作所に入社し、1994年に父の初代社長と共同で代表取締役に就き、その後社長になりました。その羽島氏は、同社の強みは職人とNCマシンの組み合わせにあると言います。
「40年くらいうちで働いてくれている職人がいますが、NCマシンにはできないようなネジづくりの技術があります。NCマシンは精密な加工を効率よくできますが、プログラム作成など事前の段取りに時間がかかります。対して、熟練した職人は、段取りに時間をかけずに今ある道具を使ってすぐにものづくりができます。少ない数の製品を早くつくる場合には、職人のウデの方が有利なのです。この双方の組み合わせで様々な受注に応えられるのが、うちの強みだと思います」
現在社員は18人、最近は工場の現場に若い人も何人か加わりました。若手社員に職人の技術をどう継承するかは同社の大きなテーマです。



「昔からの技術やノウハウとNCとのバランスが難しいところ。職人の技術が途切れてしまえばおしまいですが、教えるのは簡単ではありません。覚えが悪いと、“なんでできねーんだ”となってしまう(笑い)」
それでも徐々に継承は進んでいるようです。そして、もう1つの継承である会社の継承も、昨年、まったく別の業界に就職していた息子さんが一転して入社したことで目処が立ちました。
「すみだ塾で後継者の勉強をしていましたが、私とは違う世界での付き合いもありますから、事業にも別の新しい方向が出てくるかもしれないですね」
と羽島氏も期待をかけています。

ネジを超えた精密金属加工へと進む

最近では、ネジに限らない精密加工の注文が寄せられることがあるといいます。羽島氏も、今後は精密金属加工という領域への仕事の拡大に前向きです。
「よく試作品などで、こういうのできる?と言われてトライして、うまくできて新しい技術が加わるという経験をしてきました。加工技術はネジに限ったことではないので、それを応用して付加価値の高い金属加工を広げていきたいと考えています」
こうした方向性の志向とあいまって重要性を増しているのが、品質管理の体制を構築することです。
「大手メーカーのお客様も、昔のようにネジや金属加工のことを十分に知っている担当者ばかりではなくなり、文書化して管理するという方向になっています。品質管理や本質保証のレベルアップへの要求は高まっているので、その環境を整備していかないといけません。今、5Sや工場内の動線表示など基本的なところから開始しています」
三栄螺子製作所自身の新しい時代への動きが始まっています。

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