鹿本技研株式会社

カモトギケン

[業種]大分類:製造業 中分類:金属製品製造業 小分類:建設用・建築用金属製品製造業(製缶板金業を含む)

会社紹介 PICKUP特集

いかに遮音するのか、1つ1つ異なる防音扉を作り続ける

防音扉というニッチな分野で高い技術力を発揮

鹿本技研は、防音扉の設計・製作・施工を主力事業にしているユニークな会社です。防音・防振効果を高めるための建築部材の鉄骨や金属製品を広く製作していますが、中でも圧倒的に大きな割合を占めるのが防音扉の製作というわけです。
防音扉の受注先は、音響試験室など音響設備の設計施工会社や大手建設企業ですが、実際の扉の取り付け先は自動車メーカー、電機メーカーなどの研究開発施設や、放送局、劇場、スタジオなど。特に自動車メーカーの試験設備の扉を多く手がけています。
「主な音響設備の専門会社は国内に4社ほどですが、当社はそのすべてとお付き合いがあります」
そう言って胸を張るのは社長の髙永邦昭氏。防音扉の設計、製作では30年を超える経験があり、同社の技術力を支えてきました。また、納期の面でも他に引けをとらないと言います。
「オーダーメイドの防音扉をつくるには通常、数週間から1カ月程度かかりますが、当社は早ければ4日で仕上げることができます。そのわけは、加工を外注せず全て社内で行うことと、ドアハンドルなどの部品を種類多く在庫していることにあります」(髙永氏)
同社では、レーザーカッターや各種プレス機をはじめ多様な加工機械を備え、加工を内製化することで短納期を実現しています。また、防音扉の部品にはすぐに手に入らないものもあるため、できる限り自社で在庫を持つことで扉製作への影響を最小限に抑えているのです。
一般には知られる機会の少ない非常にニッチな事業ですが、同社の防音扉のエンドユーザーは鹿児島県から北海道までほぼ全国に及び、その確かな品質は高い評価を獲得しています。

高い遮音性能を短納期で提供する

  • 高性能な防音扉を製作

    同社では、歪みのこない強度と高い寸法精度による扉本体と枠の作製により、要求された遮音性能を確実に実現する防音扉を提供できます。

  • 外注なしで短納期実現

    製作ではステンレス材や鋼材の切断、曲げ、溶接などが主要な作業となりますが、同社ではこれらの加工を全て内製化して短納期化を実現しています。

  • 音響測定技術を生かす

    同社は設立後、音響測定を事業としていた時期があり、遮音性能の測定に詳しい。その技術と経験が防音扉と音響試験室などの施工に生かされています。

しっかりとした扉をきちんと作ること

「やってみて、防音扉を作るのは想像以上に大変なこととわかりました」
髙永氏は、防音扉の製作に初めて取り組んだ1981年(昭和56年)当時を振り返ってこう言います。
髙永氏が大学卒業後就職した振動防止設備の会社を辞め、その後、鹿本技研を設立したのが1976年。ここで音響設備の専門会社などから音響測定の仕事を引き受けるようになり、やがて81年頃に、防音扉を作れるところを探せないかという相談を受けたのです。
「探してみると、一般建築物の扉を作る会社が防音扉も作っているケースがほとんどで、きちんと遮音性能が出せるところはなかなかありません。そこで、ならば自分たちでやってみようとなったのです」(髙永氏)



しかし当初は失敗ばかり。例えば枠作りでは、端を45度に切った鉄骨2本を溶接して角の部分を作ったものの、これではすぐ歪んでしまう。なにしろ扉本体が100キロにもなるので支えきれないのです。
「低い音の遮音には重さが必要で、高い音では隙間のできない寸法精度が必要です。そこが防音扉の大変なところでした。遮音性能の測定法は知っていましたが、扉の中身は知らなかったのです」(髙永氏)
角の溶接を考え続け、つなぎ目の形状に工夫を凝らして強度を高めることに成功し、やがて防音扉の製作は軌道に乗ったのです。設計、製作、取り付け、メンテナンスを一貫して引き受けるやり方も喜ばれ、信頼性が増していきました。
「大切なのは、ねじれない扉を寸法精度もしっかりと作ることです。今も引渡し時には全品の測定検査をして、その結果を付けて納めています」
髙永氏はそう述べて、音響測定が土台にある防音扉づくりの自信を示しています。

若い社員が育ってくれているのも強み

鹿本技研のもうひとつの大きな特徴は、社員の年齢が若いことです。10人いる社員の平均年齢が35歳を切るのは、建設関連の中小企業としては非常に若いと言えます。
「私が若い人が好きだから(笑い)。募集としては溶接工ですが、ステンレスのできる溶接経験者はなかなかいません。それで経験のない若い人を採用して教えています。今いる社員で経験があって入社したのは2人だけで、あとは未経験者ですが、それが頑張ってくれています」
と髙永氏は笑顔で話します。その若い社員とは毎日言いたいことを言い合いながら仕事をしている様子。
「まるで喧嘩です。見学に来た人が、私が謝っているので驚いています(笑い)。私の目の届かないところでもきちんと仕事はしていますし、お客様から個人としてアテにされている若い社員もいることは私としても嬉しいです」
と髙永氏が目を細めます。
鹿本技研の今後の課題として同氏が考えているのは、防音設備や防音扉の施工の効率化です。現在、独自のパネル化開発に取り組んでいて、工期とコストの削減を実現できる工法を目指しています。
そしてもう1つの課題が後継者の育成。現状では、営業、図面作成、見積り、コスト管理も高永氏の仕事です。こうした全体に関わる仕事とマネジメントのできる人材をどう育てるのか、大きな問題のようです。
「私もまだ10年はいけると言ってくれる人もいるので、その間に答を出します(笑い)。この仕事にはやりがいがありますし、名前の知られた施設に自分たちの作った防音扉が入っているのは自慢です。必ず後継者が育ってくれると思います」
と髙永氏は今日も元気いっぱいに工場の中を飛び回っています。

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テクノシティすみだ PICKUP企業特集 vol.12-1 「鹿本技研株式会社」

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