株式会社墨田キール

スミダキール

[業種]大分類:なめし革・同製品・毛皮製造業 小分類:なめし革製造業

会社紹介 PICKUP特集

ファッション業界の若い挑戦者と共にオリジナルな革素材をつくり出す

ファッション業界向け中心の革加工メーカー

墨田キールは、主にファッション製品を対象にした皮革素材の加工を行っているメーカーです。墨田区は革製品の加工メーカーも多いところですが、同社は1959年の創業以来長く牛革の染め加工を専門にしていました。その後、より付加価値の高い後工程の加工分野に事業を拡大し、現在はフィルム転写、型押し、箔押しなど多様な加工を一貫して行う体制を整えています。通常、それぞれを専業で行っている会社が大半なので、全てを自社でできることは大きな強みとなっています。
フィルム転写とは、革の表面にパターン模様やデザインされた絵柄を描くための、主流となっている技法の1つです。透明な大判のフィルムに目的のデザインを描いた染料が載っていて、ロールプレス機で熱と圧力を加えて革に転写するものでホットメルトの技術が応用されています。このフィルムが、各国の専門メーカーによって世界のファッション市場に向けて販売されています。
「毎年イタリアでデザインの展示会があり、当社もそこでフィルムを仕入れてきます。日本にもフィルムを作る会社がありますが、やはり先を行くファッション性とセンスではイタリアが一番です」
そう話すのは社長の長谷川憲司氏。日本の1年先のファッションシーンで求められるトレンドをキャッチし、そのフィルムを探し出す目利きの力も必要です。
「いかに新しいものをキャッチするかです。言われてから作ったのでは、お客様が来シーズンに向けた展示会に出展するのに間に合いません」
と長谷川氏も言います。加えて、同社には、前職で発色調合の経験もあるという職人がいたり、表面の凹凸や手触りの加工も社内ですぐできるため、ファッション業界からの信頼も厚いものがあります。



染色から型押し、試作まで幅広く対応

  • 多様な革加工を1社で

    染色加工だけでなくフィルム転写、インクジェットプリント、型押し、箔押し、汚し、はたき落としなど、多様な加工を1社内で可能にしています。

  • ファッション業界がメイン

    バッグ、財布、靴、ウェアなどファッション分野での革製品に向けた革素材の製作をメインにしていて、世界の流行の先取りが評価されています。

  • 手間を惜しまない商品開発

    お客様ごとにオリジナルな加工を行い、その開発には手間を惜しみません。また展示会出品での、コストを度外視した試作開発もいろいろ行っています。

高いファッション性と新しいことへの挑戦で競争力を保つ

同社にはファッション業界のお客様だけでなく、テレビの番組制作やCM制作会社、劇団の衣装担当者なども訪れます。
「スタイリストやデザイナー、ディレクターが革を探しに当社に来るのです。出演者やミュージシャンが身につける革で、こういう色こういう感触のものができないかという依頼です。それもすぐに欲しい(笑い)。1回だけのものですから儲けにはなりませんが、皆でどうしたらできるかと考える楽しみがあります」(長谷川氏)
美術・デザイン系の大学生が、見学やインターンシップでやってくることもあり、革加工の魅力につかれて社員になった人もいるそうです。
長谷川氏が墨田キールの社長を継いだのは、父である先代社長が亡くなった2003年のこと。継ぐのは当たり前のことと思っていました。
「私が子どもだった頃は職人が30人いて、そのうち住み込みが10人でよく遊んでもらいました。テレビを見ているとよく父に呼ばれて、簡単な作業の手伝いなどもして小遣いをもらっていましたし、大学も工業化学を選んで疑いもなくこの仕事に入りました」(長谷川氏)



しかし、革製品の業界も生産は徐々に海外へと移っていき、加工メーカーの経営環境も厳しさを増してきました。その中で同社は加工技術、加工分野の拡大と、ファッション業界のニーズに応えることに力を入れて競争力を保ってきたのです。新しいことにも積極的に挑戦してきました。インクジェットプリンターを2000年に革加工に導入したのも、「業界では私が初めてだった」(長谷川氏)と言います。
「はじめは使いこなすのにずいぶん苦労しましたが、今は専任の担当も置いて、プリント転写とは別のプリント事業として成立しています」(長谷川氏)
多様な加工と高いファッション性、そして効率性。そうした同社の取り組みは、2008年度の「すみだが元気になるものづくり大賞」の受賞にもつながっています。

何でもおもしろく考えながら自分たちのペースでいく

長谷川氏は50歳のときに、危ういところで心筋梗塞が見つかって一命を取り留めた経験をしてから、仕事への考え方が大きく変わったと言います。
「ストレス性の心筋梗塞。酒も煙草もやらないのですが、納期とコストダウンに追われ続けていたストレスが原因でした。それをもうやめようと思いました。何でもおもしろく考えて仕事をしていこうと決めました」
もちろん会社が生き残っていくことが先決ですから、小回りを利かせて顧客の要望に応えていくやり方は変わりません。革加工では、コスト重視の量産加工は海外に移り、1つ1つ違う面倒な加工だけが国内に残っていくと見ています。それをおもしろくやっていきたいと考えています。 「オリジナリティを求めるお客様はいま、既製品をそろえた問屋は見ていません。当社のようなメーカーに直接聞きにくるケースが増えています。うちも従来どおり問屋さんは大事にしていきますが、一方で新しく起業した若い人や意欲的なデザイナーと一緒に他にない革製品づくりをやっていきたいと思います」
問屋では取り合ってもらえなかった若い女性デザイナーが、墨田キールに来てその場でベテラン職人に希望通りの革を作ってもらうことができ、やがて自分の革製品ブランドを立ち上げることに成功したという例もあります。ファッション市場という得意分野を持つことを強みに、若手を助けてオリジナリティあふれる革素材をおもしろく提供していく・・・それが長谷川社長の目指す道のようです。

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テクノシティすみだ PICKUP企業特集 vol.11-1 「 株式会社墨田キール」

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FAX03-3617-8553
担当者長谷川憲司