吉田テクノワークス株式会社

ヨシダテクノワークス

[業種]大分類:製造業 中分類:情報通信機械器具製造業 小分類:通信機械器具・同関連機械器具製造業

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ケータイとスマホのボディを革新するインモールド成形のパイオニア

樹脂成形加工で独自のインモールド技術を生み出す

吉田テクノワークスは、インモールドの独自技術を持ったプラスチック成形加工メーカーで、墨田区の本社のほかに栃木県足利市と岩手県大船渡市に工場を持ち、開発・設計・製造を一貫して行っています。
インモールドとは、プラスチック射出成形機の金型内に、印刷や蒸着等によって絵柄や質感を表現したフィルムを送り込み、成形と同時にプラスチック製品表面に転写(加飾)やコーティングをする工法です。この表面加飾技術、じつは同社の前身である吉田工業が1973年に世界で初めて実現した技術で、今では世界的にも“In-Mold Decoration”と呼ばれて利用されています。成形後に印刷やUVコート等を施す場合に比べ、高品質の表面加工と共にコストダウン、歩留まりの向上、リードタイム短縮といったメリットが得られます。
吉田工業は終戦間もない1946年に樹脂加工で創業し、化粧品容器の成形でパイオニア的地位を築いたことでほとんどの主要化粧品メーカーのコンパクトケースを製造し、業界内で“コンパクトのYOSHIDA”と呼ばれました。現在も世界の化粧品パッケージ開発をリードする1社として成長を続けています。
そこで開発されたインモールド技術は、やがて携帯通信端末のボディの成形加工で大きな発展を見せ、その成長市場での事業拡大を目指して2004年に吉田テクノワークスが分社独立したのです。同社は、このインモールド技術を引き継いで、ダブルインモールド、錫蒸着インモールドなどの独自性の高い新技術を次々と開発し、携帯電話端末とスマホ(スマートフォン)の液晶保護パネルとボディのインモールド成形で、国内トップクラスの実績をあげています。同社では今後も、斬新なデザインと機能美を実現する新しいプラスチック成形加工技術の開発を続け、日本でのものづくりにこだわった企業活動を続けるとしています。



インモールドのパイオニアであり続ける

  • ダブルインモールド

    2枚のフィルムで樹脂を挟んで成形し、表と裏同時に加飾する自社開発技術です。透明樹脂を使うことで立体感のあるデザイン表現が可能です。

  • 錫蒸着インモールド

    従来のアルミ蒸着箔に代わり、電波干渉を起こさない金属光沢を樹脂表面に加飾できる、不連続蒸着による錫蒸着インモールドを開発しています。

  • 国内生産へのこだわり

    作り手のこだわりのある、日本だからできる技術と製品を確保して、設計から生産まで一貫したメイドインジャパンを通しています。

社員を育てる環境づくりが私の仕事

「国内生産にこだわり、武器となる技術を持ち、歴史があって新しい会社であり、社員を大切にすること。これが当社の特長であり、目指していることです」
そう語るのは社長の吉田重雄氏。大学卒業後7年間銀行に勤務し、1993年吉田グループに入社しました。2004年に吉田テクノワークスが設立されると同時に、その社長に就任しています。社長となって最初に取り組んだことの1つが、新たな人事評価制度「MSH(Management Strategy Human resource)」の制定です。
「武器となる技術を開発するには、社員を大切にして、できる社員をたくさん育てることです。そのためには社員が価値観を共有し、同じ方向を向きながらその能力と成長を正しく評価できなくてはいけません。そこで、当社にとってできる社員とは何かを社員自身が話し合い、50に及ぶ評価項目を設定して、公正で目に見える人事評価と昇級の制度をつくりました」(吉田氏)



こうした取り組みが高く評価され、同社は2006年、『東京都中小企業ものづくり人材育成大賞知事賞』を受賞しています。
また、社員を大切にすることの中では、人材育成だけでなく労働環境の安全確保ということが重要なテーマになっています。じつは、大船渡にある同社の岩手工場は東日本大震災による津波で壊滅的被害を受けましたが、同じ工業団地の工場が多くの人的被害を出したのに対し同社の社員は全員無事でした。これは安全への備えが実践できたためと、グループ内で評価されました。
「社員を大切にすること、その環境の提供こそ私の役割と考えています」(吉田氏)

国内でのものづくりにこだわっていく姿勢

上にあげた同社の錫蒸着インモールド成形技術は、2009年の『第21回中小企業優秀技術・新製品賞優秀賞』を受賞しています。
「2007年にこの技術を開発し、2009年には携帯電話端末のメタリックボディを当社が席巻したと言っていいほどメーカーに採用されました」
と吉田氏は振り返ります。デザインと機能性を追及しながら激しく変遷する携帯電話とスマホのボディですが、同社はインモールドのパイオニアとして独自の新技術を次々と生み出して、このボディに新しい可能性を提供し続けています。そして今、同社が繰り出す新しい技術とは・・・
「これまでどこもできなかった、液晶のカバーガラスとプラスチックのボディを一体成形する工法です。金型の中でガラスを傷つけず、成形するプラスチックと精密に接合させる技術を実現しました」(吉田氏)
従来は、ボディとカバーガラスを接着テープで貼り付けていたため、液晶画面周囲に貼り付けのための幅が必要でした。しかし同社の一体成形技術により、この幅は極限まで縮小できることになりました。新工法によるボディを採用したあるスマホは、画面のエッジの幅約3ミリという細さがシャープでスマートな印象を強くアピールしています。
新たな技術開発でまた一歩前進しようという同社ですが、その一方で市場は今大きな曲がり角にあります。
「世界におけるケータイやスマホでの日本メーカーの出荷量比率は縮小を続けています。当社も市場を日本メーカーに限っていては駄目で、海外メーカーへの対応を進めなくてはいけません。ただし国内でのものづくりは確保していくつもりです。中小企業同士がそれぞれの得意技術を合体して一つの製品を作り出すというやり方を考え、作り手のこだわりが感じられる、日本の品質基準でのものづくりに徹していきたいと思っています」(吉田氏)
吉田工業は、終戦直後に化粧品の容器づくりという夢のある仕事に取り組み、“できません”と言わないチャレンジ精神でものづくりに邁進しました。そのDNAを受け継ぐ吉田テクノワークスは、いま改めて日本のものづくりを見直し、自らのスペシャリティを世界へ発信していく企業を目指しているのです。

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テクノシティすみだ PICKUP企業特集 vol.10-2 「吉田テクノワークス株式会社」

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