有限会社さいとう工房

サイトウコウボウ

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会社紹介 PICKUP特集

障がい者の可能性を引き出す多機能型電動車いすの製作をめざして

使う人一人ひとりに合わせた電動車いすの開発・製作

さいとう工房は、主として重度身体障がい者のための電動車いすの開発、製作、レンタル、修理などを行う、社員13人の会社です。自社製作のほか、国産および輸入品の改造も行っています。1994年に斎藤省氏が工房を立ち上げ、2000年に法人化しました。使う人一人ひとりに合わせて製作するため、1台の完成に数カ月を要しますが、これまでの延べ製作台数は1000台を超えています。
同社が製作する電動車いすには、電動リクライニング機能や座面が床迄降りる機能、傾斜地で水平を保つ機能など、要望と必要性によって様々な機能が付いています。従来より多機能型電動車いすは日本では製作されておらず、同社は、欧米からの輸入車の改造や国産既製品の改造で、障がい者のニーズに応えてきました。
社内には、工作機が置かれた工作室、シートの材料選びから行う縫製室、コントローラの電子制御回路を作る小部屋などが配置され、すべての作業を自社で進める体制を備えています。2011年には、ロボットコンテスト「ROBOT JAPAN 第2回」で、自社開発の電動車いすがMVPを獲得しています。
同社では開発を進めてきた独自コンセプトによる電動車いす。『レル・シリーズ』から、普及版「レル・ライト」を2013年9月に、多機能型を2014年9月に販売開始する予定です。



一人ひとりのニーズに応える開発力

  • 一人ひとりに合わせる

    重度障害者一人ひとりの身体に合わせた仕様と機能による電動車いすを製作します。的確な機能の付加により日常生活の動作領域が大きく広がります。

  • 独自の機構開発力

    電動リクライニング&ティルト式、呼吸操縦機能、軽量小型電動昇降機構、傾斜地水平機構、座面が床まで下降する全幅変換機構などを開発しています。

  • 車いすのQOL追求

    車いすは、単なる移動の道具から、一日の多くを過ごす生活の場へと変わっています。同社がそこで目指すのは、「人生の質(QOL)」の向上です。

障がい者の自立を支援する電動車いすづくり

社長の斎藤省氏は、かつて若くして興したメーカーで経営者として大きな成功を収めた経歴があります。しかし40代になってから、上を追い続ける競争の世界に何かが違うという強い想いを抱くようになり、全てを捨てて、福祉サービスの仕事に飛び込んだのです。
「ある日、手が不自由で自宅の鍵が開閉できないという女性に逢い、リモコンの鍵を作成して取り付けてあげたのですが、その方から、一人で外出ができるようになったと涙を流して喜ばれたのです」(斎藤氏)
また別の日、海外から来た足の不自由な18歳の少女が、人出の多いお寺の階段を、車いすから降りて肘だけで登りきるのを見て、深く感動したこともありました。こうした経験が現在の道へ進む契機となりました。
「障がい者が自立するのは素晴らしいことだ。その手助けをして喜んでもらえる仕事をしようと考え、電動車いすの修理や改造を始めたのです」(斎藤氏)



さいとう工房を立ち上げた斎藤氏は、電動車いすの製作の傍ら、2010年には、アジア各国への中古電動車いすの提供と整備技術指導を行い、アジア障害者の自立を支援する、NPO法人「さくら・車いすプロジェクト」を設立しました。その事業を一緒に行っているパキスタンの技術者が同社の社員として働いています。
「この工房からこれまでに4人が独立して、他の地域で事業化しています。障害者を助けるばかりでなく、その地域の行政や国にもメリットがあり、販売者にもメリットがあって、障がい者自身も加わるものづくりの輪をつくれたらいいと思っています」
と、斎藤氏は大きなムーブメントとしての車いす事業を考えているようです。



多機能選択型電動車いす『レル・シリーズ』の開発

「障がい者一人ひとりが持っている可能性は決して小さくありません。電動車いすによって出来ることが広がれば、眠っていた可能性が引き出され、その人の人生はもっと豊かに輝くものになるかもしれません。多くの方に、それを享受していただくためには、限界のある改造ではなく、誰もが入手しやすい市販機で、オーダーメードに近い多機能電動車いすをつくりたいと考えていました」(斎藤氏)
そうしてさいとう工房が6年をかけて開発したのが、多機能選択型電動車いす『レル・シリーズ』です。機能限定の普及版「レル・ライト」が2013年9月に発売予定です。多機能選択型は2014年9月を予定しています。多機能選択型というのは、電動車いすに求められる様々な付加機能の機構を、本体から独立したモジュールとして用意し、使う人の必要に応じて選択して組み付けるという製作方式です。
また、6輪構造を採用したことで、直径82cmでの小さな旋回が可能になり、室内での利用やエレベーターの乗り降りが非常に楽になっています。ただし6輪構造の場合、段差を上がる際に中央の駆動輪が浮いて空転してしまうという問題がありました。同社ではこれを解消するため、一時的に車いす全体を後ろへ傾け、前部キャスターを持ち上げて駆動輪の接地と荷重を保つという独自機構を開発しています。2013年4月に特許を取得しました。
「私の目的は車椅子を作ることではありません。障がい者が自立して、自分たちも環境も自分たちで変えていく、そのような気持ちが引き出される縁となることを願っています」 と斎藤氏は『レル』にかけた夢を語っています。

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テクノシティすみだ PICKUP企業特集 vol.9-2 「有限会社さいとう工房」

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