株式会社協栄医科工業

キョウエイイカコウギョウ

[業種]大分類:製造業 中分類:業務用機械器具製造業 小分類:医療用機械器具・医療用品製造業

会社紹介 PICKUP特集

町工場からInstagramで情報発信!すみだを活気づける下町っ子の意気込み

1社依存から異なるジャンルへの進出

創業者の徳永啓人さんの個人企業として1947年に耳鼻咽喉科用機械器具製造業として創業。1982年に株式会社協栄医科工業を設立しました。その後は厨房機器、運動機器、電熱機器、適温配膳車(病院・各種飲食業)、テーマパーク設備とオーダーメイド品を手掛けることで、ものづくりの幅を拡げていきましたが売上の9割は1社から発注される医療機器用金属ユニット等の製造でした。 2020年に四代目の代表に就任した徳永武志さんは1社依存の売上構成に危機感を抱き、これまで行って来なかった取引先の拡大に取り組みました。この成果はテレビ東京の「ガイアの夜明け」、2021年10月8日 放送分 「町工場リボーン 日本の“ものづくり”が激変!」にも取り上げられました。現在はこれまで培ってきた金属加工技術によるオーダーメイドの厨房機器製造やそれらの製造技術を活かした自社ブランド「カナサカ-KANASAKA-」の展開など積極的に事業を拡げています。
(写真は、代表取締役の徳永武志さん)


Instagramで様々な人たちと繋がる

墨田区で生まれ育ち、家業を継いだ代表取締役の徳永武志さんは街への想いも強く、町工場でもどんどん情報発信を行って地域を活気づけたいと2021年11月に会社公式のInstagramを始めました。 「深く考えて投稿している訳ではない」と言うその投稿には意外な人々の興味を惹きつけました。 近年入社した従業員の方々は工業系やデザイン系を学んだ方から、木工職人・電気工事士と様々な経験を積んだ若者まで、幅広く集ってきています。徳永代表取締役曰く「彼ら彼女たちはInstagramを見て入社してくれました」ということで、特にそれらの経歴を持っている方を募集したわけではなかったとのことです。 コロナ禍の最中に墨田区へ寄贈したアルコールスタンドの写真をInstagramに投稿したところ、それを見たラッパーの方からオリジナルのアルコールスタンドの製造依頼が舞い込みました。 さらに、ものづくりや、日本とすみだの文化が大好きで、それを守ることに意欲的である元力士、大関であった小錦 八十吉(こにしき やそきち)さん、現在はタレントのKONISHIKIさんからもInstagramを通して連絡を受け、来日40周年記念品の製造やバーベキューグリルの共同開発を行っています。
(左写真は、墨田区に寄贈したアルコールスタンド。右写真は、タレントKONISHIKIさんの40周年記念品)




Instagramでどんどん繋がる

  • 自分たちで社内をリフォーム

    音楽が流れる落ち着きのある事務エリアは区内のstudio ai architects株式会社(スタジオ エーアイ アーキテクツ)さんに内装デザインを行っていただき、従業員の皆さんで施工。カウンターテーブルと椅子は、女性の職人さんがイチからデザインして作った力作。
    (写真は、社内の一角にある、鉄と木材を組み合わせたカウンターテーブルと椅子)

  • KONISHIKIさんと開発中のバーベキューグリル

    実はKONISHIKIさんはアメリカ南部で毎年開催されるバーベキューの世界大会で参加者200人中2位に輝いたBBQ界のレジェンドなのです。
    (写真は、KONISHIKIさんと開発しているバーべキューグリル)

  • オリジナル製品の依頼

    「カナサカ-KANASAKA-」の情報発信により、区内のミズマチに店を構えるLATTESTさんからはオリジナルコースターや箸置きの依頼。
    (写真は、「カナサカ-KANASAKA-」のコースターと箸置き)

トップダウンに従うのではなく、チームで解決する

同社は金属の板を切る、曲げる、溶接する板金加工業を基本としており、作っている製品の多くはオーダーメイド品です。そのため、無理難題と向き合うことも多く、ひたすら技術を伸ばす環境が整っていましたので対応力・応用力には自信があります。 そして、現在では事業が拡がってきており、社名と事業が一致しない部分もありますが「社名には先代までの様々な想いが詰まっており、それは当社の歴史でもあるので変えてはいけない」と徳永代表取締役。 工場内に掲げてある同社の経営理念 『「墨田のモノづくり」、魅せる伝統技術を地域社会と共に、協存の心で未来へと物語を繋ぐ。』を守り続けていく姿勢がその言葉に強く込められています。 その姿勢は従業員の育成に現れています。過去の反省点を見つめ直し、若手をしっかりと育てることをとても大切にしています。 現在の従業員数は18名、一番若手が21歳、平均年齢35歳の会社となりました。ある日、経営者が居なくなってしまった時に事業が途絶えないように、従業員自らが考えて行動し、仕事を楽しめるチームを目指しているそうです。 例えば、「作業台を製作してほしい」という依頼に対し、求められた高さの台を作るのではなく、そこに上下動するなどの機能性が持たせたらどうかという提案をお客様に積極的に出来るようになりました。 若手の方たちは、そのような本当に良い発想が出来るので、そうしたアイデアを形にしながら同社の技術をどんどん覚えているそうです。
(左写真は、溶接作業の様子、右写真は、若手職員主体で会議している様子)

社長の経験と従業員の経験による総力戦

実は徳永代表取締役は、家業を継ぐ前には調理師と音楽の経験があるのです。 調理師の経験はオーダーメイドされる厨房機器の細かいこだわりや納期の重要性などの理解に繋がっています。 そして、音楽の経験は意外なところで役立ちました。その機会とは、HIP HOP50周年ドキュメンタリー映画「ONE UNITY」で使用されるDJブースの製作依頼です。同社のこれまでの金属加工技術、木工職人・電気工事士などの別の仕事を経験してから入社した若手従業員の木工や電気工事の技術に、徳永代表取締役のラッパー、DJとしての経験を組み合わせることで完成しました。 このように徳永代表取締役のこれまでの経験を活かし、伸び代がない状態から経営者自らが伸び代を作ることに邁進しています。そこからは更に一歩進めて、何をやるかのアイデアを従業員から積極的に出してもらっているとのことです。そして、今までの強みであるオーダーメイドの守備範囲を増やし、更に、出来ることのバリエーションを増やして点が面に変わり将来が見えて来たそうです。 「Instagramでそんなに色々な方と繋がれるなんて運が強いのですね」という問いに「たまたまが続いたのですが、それをチャンスに出来るかは自分の力だと信じている」と徳永代表取締役は力強く語ってくれました。
(左写真は、ドキュメンタリー映画「ONE UNITY」の劇中にて使用されるDJブースを製作する様子。右写真の「ONE UNITY」の文字は、暗闇でも目立つように、ライトアップされる)

大きなライオンが自分たちの師匠、小ライオンが自分たち。大きなライオンの壁を乗り越えろという意味を込めて描いてもらった絵



取材日:2023年7月3日

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