アクリルや真ちゅうを素材としたアクセサリー・雑貨を製造・加工

「本気でものを創りたい人の志に応えたい。」と語る内田光信さんが代表取締役を務める株式会社アヴァンセは、2009年に創業しました。内田代表は、家業のアクセサリー・雑貨製造業に従事した後、独立して墨田区内で同社を設立。主としてアクリル・真ちゅう・アセテート（合成樹脂）・ラバーキャスト（やわらかい金属。主に、スズ合金）などを素材とし製作や加工を行っています。
オリジナル170色以上のアクリル素材ラインナップ、１個から製作できる小ロットへの対応や複雑な形状への加工を強みとし、アパレルブランドのOEMに加え、オリジナルの自社ブランド展開、ブランドデビューを志す方へのサポートを主な業務としています。

お客さまの創りたいを叶える豊富なラインナップと職人の対応力

アヴァンセでは、アクリル素材として170以上の多様な色・柄のストックを常時しています。オーダーを受けるごとにアクリル板を発注する形式では、ロットの制限があり採算が合いません。そこで、170種類以上に及ぶオリジナルのアクリル板を自社にあらかじめストックすることで、様々なオーダーに対応できる仕組みを整えています。
この仕組みを取り入れたことで、多岐にわたる選択肢からお客さまの理想に合う色・柄を適正価格でご提供することができています。さらに、最少1個からのロットにも対応可能というメリットは、アヴァンセにとって最大の武器です。
アクリルは、透明度や強度の低下が極めて低い素材で、加工によって思い通りの形にしやすいという長所があります。優れた耐候性や耐衝撃性を持ち、アクセサリーや雑貨にも最適な素材の一つです。
一方、真ちゅうは錆びづらくて丈夫、加工も容易であることから、日常用品やアクセサリーの素材としても人気で、また、他種の素材と組み合わせるパーツとしても使用されています。
これらの素材を、切断、曲げ、彫り込み、穴開け、面取り、成形、研磨などの技術を駆使して加工。異素材を組み合わせて製品に仕上げるノウハウ・実績も豊富です。

アクセサリー、雑貨の自社ブランドを発信し、日本のものづくりを支えたい

近年、中国などにものづくりの拠点が移行する中、大手企業からのOEMは減少し、国内のものづくりの空洞化が進行してしまいました。
アヴァンセでは、カラーバリエーションや技術力といった強みを生かし、4年前に自社ブランドをスタートさせることを決意。「根底には、わたしたちの技術をより多くの人に知ってもらいたいという思い、そして、再び国内生産に目を向けてもらい、職人さんによるものづくりを持続させたいという気持ちを込めています。」と内田代表。
現在、アクリル素材を用いる「kukulu-tokyo（クークルトウキョウ）」、真ちゅうなど金属系の素材を用いる「aussi JAPON（オッスィージャポン）」と「ECRu.（エクリュ）」の３ブランドを展開しています。
髪飾りなどのヘアアクセサリーやピアス、ブレスレットをはじめ、商品の分野は多種多様。ECサイトを通じた販売からスタートし、2022年からは小売店での販売も開始し、好評な販売を継続しています。

ブランドデビューに挑戦する個人作家さまをサポート

「企業によるものづくりが衰退する一方、ハンドメイドが空前のブームとなる中、私たちは個人作家さまの、ものづくりに視点を向けました。ものづくりに情熱をかける人、自分発信で創りたい人を支えようと思ったのが、ブランドデビュー支援事業のきっかけです。」
従来、個人作家さまのOEMについて対応できる企業は、ロット、予算、複雑な形状への対応などがネックとなり、ほとんどありませんでした。4〜5年前にブランド立ち上げを目指し、現在、製作の支援をしている顧客は、10社ほどに断られた末にアヴァンセにたどり着いたそうです。
そこで、アヴァンセはホームページで「ブランドデビューは、製造のプロ集団にお任せください！」とのコーナーを設け、「たくさんコミュニケーションを取っていただき、良いものを一緒に作り上げていきましょう。そして適切な広告の方法や販路など、これからブランドデビューされる方のサポートをきちんと行っていきます。」と呼びかけています。
高品質な職人技、そしてOEMの経験により培ってきたデザイン力を基盤とし、ヒアリングを重視して、ターゲットやコンセプトなどの検討から始まり、試作やブラッシュアップ、さらに商品のラインナップや販売促進、継続的な事業へ向けての戦略なども含めてアドバイスしていくのが、アヴァンセ流のブランドデビュー支援です。

理想・イメージを具現化し、ブランドデビューへ導く

「言葉だけでは伝わりにくいものです。まずはたたき台のサンプルをつくり、理想に近づけるために具体的な方法を共に考えていきます。ビジネスとして継続できるよう、私たちも全力でサポートさせていただきます。」と内田代表は語ります。
アヴァンセの献身的なサポートを受けて立ち上げに至ったブランドの一つとして、ネコ型マッサージグッズを展開する「ruhe（ルーエ）」があります。ruheは、約３年間にわたってアイデアを温め、構想を具現化できるメーカーを探した末に、アヴァンセに巡り合いました。ネコ型マッサージグッズとは、体質などによる不調で困っている人が、ネコ型のかっさプレートでいつでもどこでも誰でもできるツボ押しセルフケアができる癒しグッズです。
内田代表は、理想やこだわりポイントを詳細にヒアリングし、その熱意を受け止めた上でイメージを具現化しました。そのおかげもあり、ruheにとってイメージどおりの商品化ができ、意匠登録も済ませオンラインショップ販売を開始。順調に展開中です。
このように、アヴァンセでは必ずしもデザインの完成品を提示した上での依頼に限らず、図案すらない状態のイメージを形にしていくところからサポートしているところが大きな特徴です。
ruheを立ち上げた方からの「イメージ案を作成するために、分度器や定規などを駆使し、カーブの伝え方はそれ自体を検索するなど必死に取り組みましたが、できあがったイラストは不十分なもの。その状態から忠実に再現したサンプルが届いたときにはプロの技術に驚くと同時に感動しました。御社に出会えて本当によかったと思いました。」とのコメントからも、アヴァンセの熱心なサポート姿勢がよく伺えます。
日々新しい相談が寄せられているアヴァンセでは、内田代表とともに職人さんたちが、相談者さまの理想・イメージを具現化するために、技術とアイデアを出し合っている姿が印象的でした。

■「ruhe」の販売サイトは、以下のリンクからアクセスいただけます。
https://ruhe2022.base.shop/

取材日：2023年3月28日

動画で見る「株式会社アヴァンセ」