キップス株式会社

キップス

[業種]大分類:製造業 中分類:繊維工業 小分類:外衣・シャツ製造業(和式を除く)

会社紹介 PICKUP特集

創業100年以上、レディス系アパレルブランドのOEM生産を中心 として

キップス株式会社は、1916 年に肌着メーカー、田中メリヤス製造所として創業。戦後は縫製業を主として子ども服を手がけた後、レディースやメンズカジュアル、スポーツウェアなどのOEM 生産に移行し、1986 年にキップスに名称を変更しました。
レディース・スポーツ系特有の滑りやすく伸縮性の高い素材の扱いに習熟した職人やパタンナーによる技術力・応用力などを企業の強みとし、主としてミセス系ハイブランドの小ロット生産などを多数手がけています。
近年はレディースのOEM にとどまらず、オリジナルワークウェア「KIPSworks」、廃棄ぶどうを染料に用いた自社ブランド「3ico(ミコ)」、サウナ・銭湯用ブランド「OFF-LOW-BURF-COMPANYS(オフロバカンパニー)」など、ライフスタイルを切り口として多角的に展開中です。


ファッションデザイナーの良きパートナーとして信頼構築

コアビジネスとなるアパレルブランドのOEM 生産について、専務の田中康雄さんは「最も重要なのは、ファッションデザイナーとのコミュニケーションです。」と語っています。 感性の領域を表現する言葉は抽象的で、デザイナーが真に意図するところを把握し、具現化することは一朝一夕にはいきません。
デザイナーが意図する「テイスト」を言葉の裏まで理解できるパートナーとして信頼関係をいかに築くかが決め手となるのです。キップスでは、アパレルブランドとの長年にわたる取引から、デザイナーとのコミュニケーションに習熟してきました。
一方、既存のアパレルブランドとの取引を基盤としつつ、スタートアップ期のブランドを手がけることもあり、デザイナーと共に成長していく喜びを共有することに努めています。さらに、レディースと素材が似ているヨガウェアや卓球のユニフォームなどのスポーツ系衣料のOEM 生産も展開中です。

デザイナーとのコミュニケーション3つのポイント

  • 真の意図を汲む

    例えば「ゆったりめ」と表現したとしても、その意図するところはどの程度のゆったりさでしょうか。デザイナーの意向を理解するには、経験と共通言語の獲得が求められます。

  • 観察力を鍛える

    物事を観察し、変化に気付く力は、デザイナーと円滑なコミュニケーションをとっていくための重要なスキルです。

  • 信頼してもらえる存在になる

    デザイナーとパタンナーはパートナーとして長いお付き合いになるため、結局のところ、お互いのパーソナリティへの理解が最重要です。

オリジナル・ワークウェアという新分野の開拓

ワークウェアへの進出は、田中専務が後継者・若手経営者育成ビジネススクール「フロンティアすみだ塾」に参加したことがきっかけとなりました。ここでの縁を機に有限会社ツバメ研磨工業所の作業着づくりがスタート。作業現場での見学から、課題の抽出、動作の分析を通じて、素材や機能性を追求し、完成に至りました。
「もともと小ロットは得意としていましたし、大手が対応し切れない細やかなニーズに対応していくことに活路を見出しました。」と田中専務。従来のOEMとは異なり、ユーザーから直接依頼を受け、そのニーズに直接応えるという新たな展開がスタートしました。
手がけたワークウェアそのものが宣伝となり、主として口コミによって、製造業やカフェ、レストランをはじめ、多くの業態のワークウェアを手がけるようになっています。クリニックからの依頼で、医療用スクラブを手がけたこともあるそうです。
「墨田区における人と人とのつながりから、多くの業種で組織は小さくともオリジナルのワークウェアを創る動きが広まり、面白い展開となりつつあります。」と田中専務。実はキップスにはデザイナーは在籍していませんが、「ワークウェアでは、機能性の追求を第一に考えています。その結果として、機能美から生み出されるデザインを表現したい。」と田中専務は言います。

さらなる多角化展開への挑戦と展望

「アパレルは衰退産業と言っていいでしょう。従来型のOEM生産をコアビジネスとしつつも、私たちの強みである職人の技術力やパタンナーの力を応用し、切り口を変えた周辺ビジネスにチャレンジし、うまくリスクヘッジを図っていきたい。」と田中専務は意欲的に前を向きます。ワークウェアはその一つと言えますが、新規事業への挑戦はそこにとどまりません。
まず、サステナブルをコンセプトとし、ぶどう農家とデザイナーと3者協同でブランド「3ico」を立ち上げました。ぶどう農家の抱える廃棄ぶどうという課題を解決するため、廃棄ぶどうや剪定した枝で染めたカットソーを発表しています。
さらに、自身がサウナーだという田中専務の発案により、ブランド「OFF-LOW-BURF-COMPANYS」を立ち上げ、サウナ・銭湯を軸としたライフスタイルブランドとしてパーカーやサウナマットなどを開発中です。
現在、キップスは2024年2月の完成を目指して、新社屋を建設中。ここでは同社のオフィスに加えて、コミュニティスペースなども展開していく予定です。
「衣食住やライフスタイルを切り口に事業を多角化展開していきたい。」と、新規分野への意気込みを語ってくれました。



取材日:2023年3月3日

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