株式会社駒屋

コマヤ

[業種]大分類:製造業 中分類:なめし革・同製品・毛皮製造業 小分類:袋物製造業

会社紹介 PICKUP特集

創業70年、老舗の矜持(きょうじ)と挑戦者の志を持つ革小物メーカーとして

株式会社駒屋は、カードケースやキーケース、財布、名刺入れなど革小物のOEM生産をメインとしつつ、近年は自社ブランドの製造・販売にも力を入れています。 バッグのメーカーで働いていた創業者は、戦後復員すると、革小物を事業分野として1950年、駒屋を墨田区内に創業しました。 つくればつくるだけ売れた創業当時を経て、やがて小売・卸向けOEM/ODMが主力となっていきます。1992年には中国・広州に地元企業との合弁工場を設立し、事業を拡大。しかし、消費者のニーズが多様化するとともに多品種少量生産が一般化し、小ロットで複雑な形態の商品が増え、生産効率が落ちる一方、相場価格は横ばい続きなど、経営環境が悪化しました。こうした中、駒屋としてはB to Cに活路を見出し、自社ブランドの開発に乗り出します。「made in japan」の技術力を磨くため、2013年に新潟県魚沼に工場を新設しました。 「本社では、企画、サンプル制作、パーツづくり、新潟工場では高品質かつ高難易度の組み立て、中国工場では大ロットの量産という生産体制となっています。」と創業当時から現在までを須藤文雄代表取締役が語ってくれました。


自社ブランド開発に挑戦中

2011年、実験的に自社ブランド「acte aider(アークトエディー)」を開始しましたが、この時点では販促ノウハウもなかったことから本格的な展開とはなりませんでした。
しかし、2020年からのコロナ禍に直面すると、人々の消費のあり方が一変し、OEM/ODM分野における受注も大幅に減少。同社は、本格的に自社ブランド事業の展開に打って出ます。
その第一弾となったのが、一般消費者に向けた自社ブランド「PICT LEATHER」。「独自のプリンティング技術を利用した事業で、お客さまからお預かりした画像を製品パーツにプリントし、革小物に仕立てて提供するサービスです」と語るのは、同社の西村剛史取締役です。プリント面には特殊なラメ調の合成皮革を用い、本体部分は本革と裏生地などで製作しています。
特徴的なのは、一人一人の特別な思い入れのある写真やアート作品などを使用し、スマホケースやカードケース、財布など唯一無二の革小物を仕上げる点で、1個からオーダーが可能です。自分で使用するのはもちろん、ギフトとしても好評です。





機能性に満ちたミニ財布を開発

PICT LEATHERの成功で手応えを得た同社の次なる展開は、acte aiderのてこ入れ策です。「acte aiderがブランドコンセプトの一端として重視する人々のライフスタイルや、従来の革製品の使い勝手などを徹底的に調査・検討しました。その結果、女性を中心にバッグの小型化が進みミニ財布需要が高まっていることや、女性にも受け入れられやすい雰囲気のミニ財布がまだまだ少ないことが分かってきました。そこで、名刺入れより小ぶりにもかかわらず、カード類や小銭・紙幣が収まる、ファッション感度の高い素材を使ったミニ財布を開発しました。」と西村取締役。
カラーは計8色展開で、機能性を考慮し、左利き用の製品もラインナップに加え、女性を中心にミニサイズの革小物は大きな支持を得ることに成功しました。





若手に積極的に仕事を任せる社風

駒屋でものづくりに携わるスタッフは50代、60代の熟練者も多く在籍していますが、企画・開発に関わるのは中堅・若手が中心です。その一人、小松きりんさんは大学時代にプロダクトデザインを学び、同社に入社。ミニ財布の開発を任されました。
「アイデアはみんなで出し合いながら、社長のOKが出るまで15回ほどサンプルを作り直しました。どう改良すれば課題が解決できるのか、仮説を立てサンプルを作って検証の繰り返しで、それこそコンマ1ミリの改良を繰り返しました。『やらせてもらって良かった!』と思いますね。」
小松さんは、周囲と協力しながら、このプロジェクトを乗り越えたことで、一つ高いステージに成長できたようです。駒屋では次世代の人材育成にも積極的に取り組んでいます。

若手の成長とともに生まれたミニ財布のポイント

  • 簡単操作

    レジでの支払い時、チャックをひとたび開けたら財布を持ち替えることなくワンアクションで中身を取り出せる機能的構造を実現しています。

  • カードの取り出しやすさ

    一般的な財布は、お札が最も取り出しやすい構造が主流ですが、このミニ財布は中身の一番取り出しやすい位置へカードを立たせるように収納できます。

  • 紙幣の収め方

    サイズ感と使用感のバランスを考え、紙幣は二つ折りにした上で、なおかつ、回り込むような構造にしました。イベント販売などでお札の取り出しを実演すると、「え!?どうなっているの?」と、手品でも見ているかのように驚かれます。

クリエイターとのコラボレーションもスタート

OEM/ODMの量産をメインとしつつも、企画性の高い自社ブランドを展開する駒屋には、その製品開発力が期待され、革小物デザイナーからパートナーとして製造依頼が舞い込むようになっています。これも一種のODMと言えるでしょう。 「かつては、百貨店に革小物売り場がありましたが、現在まとまった売場は姿を消し、革小物は各ブランドショップに分かれて置かれています。革小物メインの売り場が減少する一方、インターネットの販売プラットフォームが整い、個人でも気軽にモノを売れるようになりました。そのため、発信力とストーリー性を持つ個人のクリエイターに力強い販売力が生まれつつあります。こうした個人の支援も強化していきたいですね。」と西村取締役。 駒屋とコラボレーションするクリエイターによるブランドの一つ「T.rooms(ティールームス)」は、特殊薬品による収縮革、インクジェットプリント、二重の箔押しなど、新たな技術で皮革素材を生かしながら楽しさや可愛らしさを表現する商品をデザイン展開しているブランドです。また、自身が描いた水彩画を元にデザインした図案で、ハンカチや巾着、レターセットなどの暮らしの雑貨を生産・販売するブランド「kin.iro.hitode(キンイロヒトデ)」は、財布などの革小物をラインナップに加えています。 「初めから製造のことを理解して依頼するのは難しいと思います。いただいたデザインが製造上の制約で形にできなかったり、希望のデザインとは異なる製品が出来上がったりすることがあります。そうならないように個人のクリエイターさんとは、特にコミュニケーションを密に持ちながら、製造上のポイントを説明しつつ、丁寧にものづくりに臨んでいます。」と須藤代表取締役は言います。

新時代の流通形態を構築中

このように革小物の流通状況が激変する中、販売方法についても商品の特性やターゲットによって吟味していくことが求められます。 「PICT LEATHERのデビューに当たっては、マーケティングや開発コスト削減の狙いも込めて、クラウドファンディング“Makuake(マクアケ)”を活用しました。設定した目標を無事達成し、その時に得た知見をもとに acte aider ミニ財布もお披露目したところ、なんと設定目標の1000%を突破する大成功。」と西村取締役。 現在は、PICT LEATHER、acte aiderなど、それぞれwebストアも兼ねた公式サイトを立ち上げ、そこから注文できる仕組みを順次整備中。加えて、ハンドメイドや雑貨などの販売イベントへの積極的な参加に取り組んでおり、イベントへいらっしゃるお客様との対話も大切にしています。 「ユーザーとダイレクトにつながることができ、使用の感想や要望が直接届くようになったのは、私たち創り手にとって大きな励みになり、さらなる商品開発にも生かすことができますね。」と、今後の活動に一段と力を入れる須藤代表取締役をはじめ、みなさんの姿が印象的でした。

駒屋の「PICT LEATHER」「acte aider」のランディングページは、以下のリンクからアクセスいただけます。

■PICT LEATHER

https://komaya.co.jp/pict-leather/

■acte aider

http://www.acteaider.com/

取材日:2023年1月27日

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