株式会社小倉メリヤス製造所

オグラメリヤスセイゾウショ

[業種]大分類:製造業 中分類:繊維工業 小分類:外衣・シャツ製造業(和式を除く)

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老舗のベビー服・子ども服製造工場から、新たな展開へ

1929年に紳士用肌着メーカーとして創業した株式会社小倉メリヤス製造所は、戦後、大手アパレルメーカーを取引先として、主にベビー服・子供服のOEM製造を手がけてきました。
栃木県佐野市に自社工場を持ち生産を拡大してきましたが、バブル崩壊や少子化の影響などから市場が縮小、国内でのものづくりが苦境に陥る中、中国上海工場の設立や自社ブランドの発足、レディス・メンズ分野への進出など、生き残り策を模索。
2015年、4代目の代表取締役社長に就任した小倉大典さんは、「私たちは糸へん業界の応援団である」を経営理念に据え、新たな取り組みにチャレンジすることとなったのです。


ものづくりシェアファクトリー「nuuiee(ヌーイー)」をスタート

ニット製品の製造が海外に移転し、国内のものづくりが空洞化していく中、小倉代表は新たな展開へのチャレンジを始めました。ファクトリーブランドづくりなども経てたどり着いたのが、「糸へん業界の応援団」というスタンスです。
「やはり私たちは、ものづくり企業。そこが原点です。また。“つくりたい”という志を持つ人のすそ野は意外に広いのです。『minne』や『Creema』など、一般の個人が創ったハンドメイド作品を販売・購入するムーブメントが到来していました」
ここにビジネスチャンスの可能性を感じた小倉代表は、墨田区の新ものづくり創出拠点整備補助金に採択され、2016年に「ものづくりシェアファクトリー nuuiee」を開設。目指したことは、個人のものづくりの応援です。
nuuieeは、生産するための機器類を用意し、それを活用して自分でものをつくるというシェアファクトリーをコンセプトとしました。




個人のものづくり、スタートアップを応援する仕組みづくり

nuuieeでの経験を経て、小倉代表は次のステップに進んでいきます。コロナ禍突入で経済が急降下し、アパレル産業自体が縮小していく中、小倉代表は個人による小ロットのニーズに応えていくことを決心しました。
「実は、高校時代に応援団をやっていました。何かに夢中になっている人を応援するのが私の原点なのだと気付いたのです。」
応援するのに大手も個人も関係ありません。「糸へんの世界でものづくりをしたい」「夢を叶えたい」という人を応援する方向性に大きく転換していくこととなりました。
そこで、従来のシェアファクトリーとしてのnuuieeは、葛飾区に移転し、より活用しやすいように整備するとともに、本社ではものづくり支援ファクトリーとして、自分で商品の企画・デザインを行うものの、縫製については小倉メリヤスに依頼したいという人を対象とした展開を開始。いわば、「個人からのOEM」というわけです。
2022年10月、スタイリッシュな新社屋も完成し、相談に訪れた人とのミーティングルームやミニ縫製工場も整備しまし た。


初心者でもプロとしての飛躍を志すクリエイターでも懇切丁寧、 全力応援

2022年4月にホームページをリニューアルし、個人のものづくり応援を大きくPRしたところ、11か月間で1,000件もの問い合わせが同社に舞い込み、ニーズの高さを証明することとなりました。
「問い合わせしてくる人のほとんどは、スタートアップを目指す初心者です。」
クリエイターと一言で表現しますが、実際には主婦や学生など極めて間口は広くなっています。経験がなく知識の少ない人たちに対して、ものづくりのイロハやコストのことなど、指導も含めて丁寧に相談に乗るところからのスタートです。
「インスタなどのSNSが流行り、そこにフォロワーが付けばファンとなり購買に結びつきます。また、近年、副業OKの企業が増え、勤め人をしながらでもアパレル業界への参入が比較的容易です。こうした事情が重なり、店舗を持たなくとも市場に参加できるようになりました。」
SNSの隆盛と副業の解禁によって、一気に個人のものづくりニーズが増大しているのが現在の状況です。クリエイターの多くは、「BASE」などでネットショップを無料で作成して販売します。中間業者が必要ないため、利益率やコストの面でも有利です。ある意味、流通革命と言ってもよく、旧来の価値観では考えられなかった状況が展開されています。


糸へんスタートアップの伴走支援にかける思い

小倉メリヤスがスタートアップをサポートした地元墨田区の企業に「株式会社10YC(テンワイシー)」があります。「10年着続けたいと思える服」をコンセプトにブランドを展開し、順調に業績を拡大中。同社のように、スタートアップを志す方を丁寧にサポートし、ともに成功するのが小倉メリヤスの目指すところです。
「最初の商品を世の中に生み出したら、次にそこからいかに事業を拡大し、継続していくかに一つの壁があります。ものづくりから販売まで一気通貫の仕組みづくりが今後の課題となりますが、ともに課題を乗り越えていきましょう。」と小倉代表は呼びかけています。

小ロットのものづくりを推進し、国内生産を守る

超小ロットからスタートした顧客が、2回目、3回目の注文と、どんどん数を増やしていくことは、小倉代表はもちろん、縫製担当者なども含めて応援する側にとって大きな喜びです。
「共に苦労しながら創り上げたという達成感が大きく、会社にとっても価値のあることだと思っています。」
個人のスタートアップ支援による売上は会社全体から見れば、まだまだ小さい規模。それでも市場が存在することは明確で、ファッション業界の流通構造が激変する中、ますますこの市場は広がっていく可能性があります。
小倉代表は「そのボリュームを広げていくことが未来につながるはず。“頼んで良かった”と思っていただけるようなサポートに全力を注いでいます。」と語っています。
さらに、「国内生産を守っていくことが使命。個人を含めた小ロットのものづくりの仕組みを確立し、一つの柱にしていきたい。」と小倉代表。大手アパレルからの受注生産と、個人のものづくりを応援する小ロット生産を両輪として運営できる体制づくりの確立を目指しています。



取材日:2022年12月1日

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