有限会社竹内製作所

タケウチセイサクショ

[業種]大分類:製造業 中分類:窯業・土石製品製造業 小分類:ガラス・同製品製造業

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理化学分野を中心として、徐々に用途が広がるガラス加工製品

1974(昭和49)年創業の有限会社竹内製作所は、主として理化学実験用をはじめとするガラス製品やガラス管の加工製作・販売を事業としています。竹内信夫社長の祖父が創業した当時は、吹きガラスの石膏型を製作していましたが、需要減を受けてガラスを用いた理化学製品等に移行しました。現在は、ガラスの加工品と素材としてのガラス販売の両方を手がけています。 竹内さんは、18年前に急死した2代目である父を継いで社長となり、現在は東京理化学硝子器械工業協同組合の専務理事を兼務。大学や企業の研究室を中心に、個人も含めると顧客数は500社に及びます。近年は理化学分野以外にもコーヒーチェーンのオブジェ、照明器具やストーブのカバー、バーナーの火屋(ほや)など、徐々に分野を広げつつあるそうです。いずれの場合でも、手作業で行うことによって、付加価値が認められるような難易度の高い加工案件を中心に製作を続けています。

アウトドア用バーナーの火屋(ホヤ)にも

ガラスの加工は繊細な作業です。例えば、アウトドア用ランタン・バーナーなどで知られるメーカーからの依頼で手がけているバーナーのガラス製火屋の製作では、ガラスメーカーから仕入れたガラス管をベースに、バーナーを用いて加工していきます。仕入れたガラス管は同じロットでも厳密に言えば、一つずつ微妙にサイズが異なっていたり、微細な傷が付いていたりという状況。火屋に装着するキャップがジャストフィットするように、一つずつ丁寧に加工していくわけですが、素材のサイズが微妙に異なるため、バーナーに当てる時間も一つずつ調整が必要となります。その辺のさじ加減はセンスと経験が決め手になるという、まさに職人仕事です。「必要なのは、まずガラス好きであるということ。楽しく仕事ができる人でないと、良い製品はできませんね」と竹内さんは言います。
また、問い合わせに応じてサンプル提案後、2〜3年を経てから正式に依頼されたケースもあるそうです。その間、海外に外注したものの不良率が5割を超えたため、多少コストがかかっても国内メーカーでクオリティを重視することとなったという事情があったと言います。このように、手づくりのガラス加工には希少価値があり、他社では対応しきれない需要を担っているのが同社の存在価値となっているのです。


竹内製作所のものづくりを支える3つのポイント

  • 寸法の正確さ

    理化学製品にとって、生命線となるのは寸法が完璧に正確であるかどうか。精度の高いビーカーなら実際に入る量を調べながら目盛りを打っていきます。この作業ができる職人は、全国でも片手に届かないくらい。

  • 傷を付けない

    繊細なガラス製品は傷が付きやすく、傷が付いたものは不良品になる場合もあります。やるべきことは単純でも美しく仕上げるには、集中力と根気とセンスが必要です。

  • 手づくりの味わい

    大量生産では出せない、手づくりならではの「味わい」も必要です。これは、携わる者が自ら楽しみながら作業ができるかどうかということが重要な要素となります。

自社ブランド「clarto(クラルト)」スタート

理化学業界において、実験器具に関わる予算は高価なマシンに偏る傾向があり、ビーカー類などの比較的安価なガラス製実験器具の需要は減少傾向にあります。竹内製作所では、前述のような他業界向けの製品も依頼に応じて対応するほか、自社ブランド製品の開発にも着手しています。 2022年1月、ブランド「clarto(クラルト)」をスタート。フランス語でclarté「輝き、光明」に加え、「art」を融合させた造語です。その第一弾として、ガラスペンを製作。美しいシルエットと良好な書き味が特色です。溝の間にインクがせり上がってくる仕掛け。万年筆やインクの人気が高まる中、ガラスペンも贈答品や自分用としても人気を集めていります。現在、ほかにも花瓶・アクセサリーなどの製品化を目指しているところです。 ガラスペンについては、両国の革小物専門店・東屋とのコラボレーションで、革のペンケースと合わせて製品化しました。その伝手もあり、三重県鳥羽市の鳥羽一番街にあるショップで販売が始まっています。文房具メーカーからの引きあいもあり、今後の展開が楽しみです。

「ガラス製品の魅力を多くの人に知ってもらいたい」

「まだまだガラス加工製品の認知度は低い。ブランドづくりで目指したいのは、ガラス加工製品の可能性を多くの人にPRすることです」と竹内さん。ガラス展や文房具・雑貨系のイベントなどにも積極的に出展しています。将来的には両国に構えている工房を開かれたスペースに改装し、ショールームやワークショップの機能を持たせる構想もあるそうです。 また、「働いてくれるスタッフが、『ここで仕事ができて良かった』と思ってくれたらうれしいですね」と語る竹内さんに対して、「人生でいまが一番楽しい」とスタッフが語るなど、工房内の雰囲気は上々。ものづくりへの深い愛情と探求心から、繊細なガラス製品が生み出されていくのです。

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