株式会社舟岡製作所

フナオカセイサクショ

[業種]大分類:製造業 中分類:その他 小分類:がん具・運動用具製造業

会社紹介 PICKUP特集

すみだで育った公式競技用のスポーツ器具・装置メーカー

体育、スポーツで使用する器具と装置の専門メーカー



舟岡製作所は墨田区で長年にわたって、学校の体育や競技スポーツで必要になる器具や装置を製造してきた会社です。現在メインにしている製造品目は、バスケットボールやバドミントンをはじめとした、国際規格に適合する公式競技用の器具や装置。主な納入先は自治体運営の体育館や公立・私立学校の体育館などです。
たとえばバスケットボールでの主要製品は、一般にはバスケットゴールと呼ばれている “バスケット装置”です。公式な規格に合致したリングとボードを、体育館の天井から吊り下げる方式、壁に取り付ける方式、そして台座に組付けた移動式のものまで、各体育館に合わせてオーダーメードで製造し設置工事までを行います。
同社は、1996年のアトランタオリンピック以降、バスケットボールのアジア地区予選でのバスケット装置の設営に携わってきました。製品は、国際バスケットゴール連盟認定品や、日本バスケットボール協会装置検定品として公式競技で使用できるもので、国内では数少ない公式装置メーカーの1社となっています。





バスケットボールのほかでは、バドミントン、バレーボールなどのネット支柱と、それを支えるための固定金具や床埋設金具も製造しています。また、屋外競技ではサッカーゴール、ハンドボールゴール、ラグビーのポストなどにも実績があり、陸上競技を含めて競技種目を問わず、金属加工を主とする器具、装置の製造を幅広く手掛けているほか、スポーツ以外でも公園や校庭、園庭の子ども用遊具なども造っています。
そんな同社が最近自社製品として開発したのが、卓球フェンスを元にした「SUCS(サークス)」という多用途スクリーンです。
卓球フェンスはテーブルごとのコートエリアの仕切りに用いられますが、バスケットボールやバレーボール、バドミントンにも使われ、仕切り以外にも通路のガイドなどに用いられます。これを、横並び連結、直角連結、上下2段の組みつけも可能にして、多用途に利用できる自立スクリーンとして製品化したのがSUCS(サークス)です。
従来のフェンスとしての使い方のほか、体育館、公民館での休憩エリアや事務スペースのためのパーテーションや、避難所でのプライバシーを確保するパーテーションとしての利用が想定されます。


公式競技を支える器具のために磨かれた技術

  • 公式競技用の検定品製造

    各スポーツ種目の協会が検定し、国際ルールと規格を守った器具と装置を製造できます。特にバスケット装置では数少ない検定品メーカーの1社です。

  • アスリートの声を活かす

    使用者であるアスリート、トッププレーヤー、指導者たちの生の声が大きな財産です。その要望やニーズに応える製品づくりを第一にしています。

  • 熟練職人の確かな技術

    70年の歴史と区内の多様な金属加工工場の協力がモノづくりを支えています。社内外の職人の確かなウデがあってこその高品質な製品なのです。

オーダーメード製品に生きるモノづくりのプライドと謙虚さ

舟岡製作所は昭和26年(1951年)の創業以来、墨田区石原でスポーツ器具を造り続けてきました。
「私の祖父が戦前から実兄の営む上坂鉄工所で働いていて、重量挙げのバーベルを造っていたのですが、その鉄加工技術を活かして独立したと聞いています。この辺りは金属加工工場も多くあって、モノづくりには適した環境だったのだと思います」
と話すのは同社取締役の舟岡修慈氏です。上坂鉄工所は現在、ウエサカティー・イーとしてウェイトリフティング用具で世界のトップクラスメーカーになっています。舟岡製作所も当初からスポーツ器具製造で実績をあげて、1956年には日本体操協会の指定工場となって公式器械器具を製造し、1964年の東京オリンピックでは同社製のハードルが採用されました。「市川崑監督の『東京オリンピック』を観るとハードル競技ばかりに目が行きます」と修慈氏は笑います。
時代は移り、それにつれて同社のメインとする製品も変わってきて、近年はバスケット装置で高い評価を得てきました。現在、同社の事業の中心を担っているのは、修慈氏と弟の舟岡靖雄氏の兄弟。この事業では30年、靖雄氏は26年の経験があります。



「バスケット装置はすべてオーダーメードです。体育館は1つひとつサイズもデザインも違うのですが、それぞれに合わせてつくれるのがうちの得意とするところなのです」
と修慈氏は強調します。また、現場でのモノづくりを支える靖雄氏はこう述べます。
「建物の図面をもとに現場も調べてどう作るか考えます。装置をつくる側から建物設計へのコンサルティングをすることもありますし、指導の先生のこんなふうに作りたいという要望も聞きます。設計から納入まで半年くらいかかりますが、取り付けが完了してしまうと変更が容易にはできませんから、建設会社や先生とのはじめの慎重な打ち合わせがとても大事なのです」
そして、同社の仕事への取組み姿勢を修慈氏がこのように語ります。
「使う人の身になってモノをつくることを大事にしています。社員には私たちにとっては数ある製品の一つであっても、使う人にとってはただ一つのもの。使う人が使いやすく安全安心なものを提供しなくてはいけないと常々言っています。まして、恥ずべきものを出すことなどあってはなりません。矜持と矜恃を併せ持つこと、つまりモノづくりのプライドと謙虚さを持つことは肝に銘じています」

これからも使う人の声を製品づくりに活かし続ける

工場の現場では若い社員や女性社員が活躍している会社で、「ウデのある職人さんの集団」と靖雄氏は言います。とはいえ区内のモノづくりの環境も変わってきていて、部品作りで協力してもらえる工場や職人さんも以前に比べて減っていると言います。
「最近では、長くお願いしていたプレス工場が廃業してしまって困りましたが、“すみサポ”(すみだビジネスサポートセンター)の支援で新しいプレス加工会社が見つけられたということがありました」
と修慈氏も話しますが、そんな環境変化の中でも同社のモノづくりへの熱意はまったく変わることはないようです。会社の将来像について聞くと、遠慮がちにこう言います。



「将来像というのはなかなか見当がつかないのですが、言えるのは、これまでの技術とノウハウを活かして、特化した独自の製品を目指したモノづくりができる、そんな工場(こうば)であれたらいいなと思っています」
そして、それに続けて、
「それより、いま目の前にあることを適切に確実にこなし、いまたどるべき道を大切にしていきたいと思います」
と言います。同社にとってそれは、一流のアスリートや指導者から学校の先生や選手まで、現場の生の声を聞いて、それを製品づくりに活かしていくということです。
「そのいい例が“SUCS(サークス)”なのです。現場の小さな声を集めてできた製品でした」(修慈氏)
モノづくりの経験と使う人の声を、スポーツ器具・装置の進化と発展、競技力の向上、安全性の確保につなげるのが大事な使命と確信しているのです。

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